学校のIT環境、都内でも格差 10倍超の開きも
「パソコン苦手」教員も不安

2019/11/20 19:57
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公立小中学校に配備される学習用コンピューターの数で地域差が広がっている。国の目標の「子ども1人に1台」に対し、東京23区でも上位と下位で10倍超の開きがある。政府は近くまとめる経済対策に必要経費を盛り込み、格差縮小を目指す方針だ。ただ現状はIT(情報技術)機器を使った指導に習熟した教員ばかりとはいえず、研修強化などの課題は多い。

「現状を打破しないといけない」。東京都練馬区教育委員会の担当者は、文部科学省が今夏に公表した学校のIT環境の全国調査結果を重く受け止める。

同区立小中に今年3月時点で配備された端末は「子ども14人に1台」。23区内で最も少なく、トップの渋谷区(1人に1台)などと大きな差がついた。練馬区は来年度から整備を加速するという。

公立小中の端末などは原則、地方交付税などを活用して自治体が購入する。練馬区は児童生徒数が約4万6千人と23区で3番目に多く、配備には多額の費用がかかる。しかし、子どもがより多い世田谷区は6.8人に1台配備済み。23区平均(4.7人に1台)や全国平均(5.8人に1台)と比べても遅れは明らかだった。

「現代の読み書きそろばん」といわれる情報教育。子ども時代にパソコンなどにどれだけ触れるかで、大きな差がつきかねない。

2014年度から配備を進め、19年時点で「1.2人に1台」となった荒川区。17年の調査によると、小学低学年で最もIT機器を使う授業は「生活科」で、児童は平均で週2回ほど端末に触れる。ほかにも理解度に応じて問題が出るデジタルドリルを解いたり、国語の音読を動画で自ら記録したりしている。

その結果、小学校でも端末を駆使して文字や画像を取り込み、発表用の資料を作ることができる児童が増えたという。担当者は「家庭の経済状況に関係なく、これからの社会で活躍するのに必要な情報活用力などを身に付けてほしい」と話す。

かたや、配備が遅れ気味の地域では「パソコンを毎日使う学校やクラスはあまりない。小学校低学年では全く使わない学校もあるだろう」(練馬区教委)。

23区での端末配備状況の差は広がっている。07年は1位と最下位の差は4.3倍。約10年でそれが14倍に広がったことになる。都道府県単位でも格差は07年の2倍から19年の3倍に広がった。

東北大大学院の堀田龍也教授(教育工学)は「大きな原因は自治体の認識不足。IT環境の整備は国の役割と思っているところが少なくない」と指摘する。文科省の19年の調査では、整備遅れの原因に「要望しても予算が認められない」を挙げる教委が全体の2割に上った。

機器の配備が進んでも、ITを活用した指導に及び腰の教員が多ければ、端末が使われないままになる懸念もある。

23区で下から2番目の「8.9人に1台」だった足立区。担当者は「パソコンが苦手で授業に取り入れられるか不安な教員もいる」と話す。文科省が全国の小中学校教員らに今年3月時点でITを使った指導ができるか尋ねたところ、「できる」「ややできる」割合は平均で7割だった。

指導法を変えるには教員研修の充実やモデル授業の展開などが不可欠だ。政府は経済対策のなかに、端末を配備する場合の補助金制度の創設だけでなく、教員研修、外部人材の登用などを後押しする経費を盛り込むことを検討している。

IT活用教育のモデル校になった東京都小金井市立小学校の元校長で、教育コンサルティング会社代表の松田孝氏(60)は「ITは子どもの個性に合った学習を可能にすることを教員に体感してもらいたい。効果が分かれば、教員のITスキルも自然と身についていく」としている。

(佐野敦子)

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