ピーカンナッツでもうかる農業 埼玉県、遊休農地活用

2019/11/20 19:42
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ピーカンナッツの実は渋みがなく、菓子や料理のトッピングに使われることが多い

ピーカンナッツの実は渋みがなく、菓子や料理のトッピングに使われることが多い

埼玉県はピーカンナッツの栽培普及に乗り出した。他の作物と比べ収穫が簡単な上、高い収益も見込める。参入農家が増えれば、高齢化に伴う農業の担い手不足や遊休農地の増加といった課題解決にもつながる。今後、栽培講習会などを定期的に開催するほか苗の供給体制を構築し、特産化を目指す。

県によると、日本国内でピーカンナッツ栽培に取り組んでいる例はほとんどない。そのため、優良苗の入手や適切な栽培方法を確立する必要がある。県は木の性質が似ているクルミの産地、長野県東御市を視察。今後は東京大学の生産技術研究所などと連携し、適切な栽培方法を探るとともに、ブランド梨「彩玉」の接ぎ木を担う川俣農園(さいたま市)で苗の生産にも取り組み、安定的な供給体制の構築を目指す。

ピーカンナッツはクルミに似た木の実でスナックとして食べたり、菓子や料理のトッピングに使ったりする。くるみやアーモンドよりも柔らかく、殻も手で割れる。

生産農家にとっては、収穫のしやすさが大きな利点となる。落葉性で熟すと実が自然に木から落ちるため、収穫は熊手などで集めるだけ。苗を植えてから実がなるまで5~7年はかかるが、一度実を付け始めると、300年以上の寿命を持つ樹木もあるという。

ピーカンナッツは高い収益も見込めそうだ。食品の輸出入業者によると、2018年産のピーカンナッツは1キログラムあたり2500円で取引され、アーモンド(1000円)やクルミ(1000~1500円)よりも高い。菓子の材料として需要も高まっており、日本ナッツ協会によると、18年の輸入量は約490トンで10年前より約2.4倍に増えている。

県が12日、JA南彩(南彩農業協同組合)と連携して開いた第1回の講習会には17人の生産者が参加した。さいたま市内の農園で収穫を体験。ピーカンナッツを知ってもらおうと試食会も実施した。本格栽培への足がかりとする狙いで、オーストラリアから苗木も輸入。当面はJA南彩が窓口となって販売する。

県内では高齢化に伴い、農業の担い手が不足、遊休農地も増えている。2015年時点の総農家数は6万4178戸で、5年前に比べ8700戸以上減少した。耕作放棄による荒廃農地は3300ヘクタール(17年)に上っている。春日部農林振興センターの担当者は「ピーカンナッツの特性であれば、大きな負担にならずに遊休農地で育成できる」とみる。

埼玉県は農家や飲食店と連携し「ニッチなフード・ビジネス」の構築に取り組む。飲食店業者などからの需要を把握し、ヨーロッパ野菜など、新しい農産物の生産を支援してきた。県の担当者は「ブルーオーシャンを狙いたい」と意気込んでいる。

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