北陸の大雪被害、ITで防げ スマホで消雪制御

北陸
2019/11/21 4:00
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2018年2月は大規模な立ち往生が相次いで発生した(福井県坂井市)=共同

2018年2月は大規模な立ち往生が相次いで発生した(福井県坂井市)=共同

北陸でIT(情報技術)を使って積雪時の交通安全を確保する動きが広がっている。石川県能美市は道路の雪を水で解かす消雪設備をスマートフォンなどで遠隔制御できるようにする。福井県では積雪による交通の混乱を人工知能(AI)で検知できるカメラの設置数を倍増させる。2018年に北陸に大きな被害をもたらした大雪に効率よく対応して被害を防ぐ。

能美市は今冬、NTTデータ北陸が開発した消雪設備の動作を遠隔で監視したり制御したりできるシステムを、日本海側の根上地区で導入する。道路に設置されている消雪設備に通信機を付け、全ての設備の作動状況をスマホで一覧できる。

スマホの画面をタップするだけで各設備のオンオフを切り替えられるほか、故障があればアラートで知らせる。担当者は見回りをしながら、その場でスマホ操作できるほか、夜間や休日には自宅や遠隔地にいても設備を制御できる。

タップするだけで設備のオン・オフができる

タップするだけで設備のオン・オフができる

これまでは市役所から離れた消防署の制御盤で設備を操作する必要があった。市職員の指示を受けた消防職員が管理室で操作するか、市職員が消防署に直接出向いて操作する必要があり、対応が遅れるという課題があった。まずは根上地区25カ所で実施し、効果が認められれば他の地区も含めた約50カ所に広げる方針だ。

福井県では積雪時の交通混乱をAIで事前に察知し、道路管理の担当者に警告する取り組みが始まった。国土交通省福井河川国道事務所は今冬、AIで国道上の道路映像を解析できるカメラを昨年の倍の計20台に増やして監視を強める。石川県境―あわら市間と南越前町―敦賀市間に設置する。

18年2月の記録的な大雪で国道8号に1500台以上の車が立ち往生したことを受け、18年度に安全確保のため全国に先駆けて導入した。

降雪時期にカメラで撮影した車の流れの映像をAIが解析し、通常とは異なる交通量や車の流れを検知すると同事務所の担当者に警告を発する仕組み。警告を受けた担当者は状況を確認し、除雪車を向かわせたり交通規制をかけたりする。従来は人の目だけで監視していたが、同事務所が管理するカメラは150台あり、異変を見落とす可能性もあった。

担当者は「立ち往生を防ぐには渋滞や立ち往生車を早期に発見して対応することが第一。人の目では発見しづらい異変でもAIなら見つけられるはず」と期待を寄せる。

金沢市は20年度から道路の積雪状況や河川の水位などをまとめて把握できる新たな防災情報システムの運用を始める。別々の課が持つ災害情報を共通のクラウドシステムに集約。防災を担当する危機管理課が、パソコンやスマホで一括して見られるようにする。

これまでは河川情報を集約する内水整備課や道路の積雪情報を集める道路建設課などに聞き取りをしたり、各課のシステムにアクセスしたりして災害情報を取得してきた。こうした情報を白板に書き込むことで一覧性を高めていたが、集約作業に時間がかかるとの課題があった。

新たなシステムのもとでは大型のモニターを導入して、クラウド上に集約された災害情報をリアルタイムに表示することで、素早く対策が打てるようにする。

各自治体の危機感の背景にあるのは、昨年の2月に日本海側を襲った記録的な大雪だ。雪に埋もれた車で死者が出るなど住民の安全確保が課題となったほか、工場が操業を停止したり、物流が途絶えたりするなど地域経済にも大きな影響を及ぼした。

除雪を手掛ける人材不足は深刻だ。全国建設業協会がまとめた調査によると、除雪業務を継続していく上で特に重要な取り組みとして、除雪業務を受注する企業などのうち8割以上が「担い手確保・育成」を挙げた。省力化しながら、住民の安全を確保できるIT活用の動きは今後も増えそうだ。

(毛芝雄己、鈴木卓郎)

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