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「企業オーナーになる投資を」奥野氏(運用の達人)

2019/11/26 12:00
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資産運用のプロであるファンドマネジャーらの信念や視点は、個人投資家にとってもヒントになる。今回は「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね」の運用助言を担当する農林中金バリューインベストメンツの奥野一成最高投資責任者(CIO)に話を聞いた。

農林中金バリューインベストメンツの奥野一成氏

農林中金バリューインベストメンツの奥野一成氏

――不安にならずに投資を続けるコツはありますか。

「理論的に正しいことを論理的にやることです。投資の世界では人と違うことをしなければ勝ち残れませんが、人と違うことをしていると不安になることもあります。だからこそ理論的に説明できることだけをやります。自分の勘や思い入れだけで投資はしません。本当に強い会社を探し出すために、業績などの数字を見てその後ろに何があるかを徹底的に調べます。そこから自分なりの仮説を立て、あらゆる前提を置きながらロジックを組み立てていきます」

「投資はモノづくりと同じです。頭の中で考えるだけではなく、世界中のたくさんの人に会って話を聞き、自分が立てた仮説が正しいかどうかを一つ一つ確かめていく。手作業でネジを1本ずつ締めていくような地道な仕事です。そうやって利益を上げ続けられる強い会社をえりすぐっている。利益が上がるのは、顧客の問題を解決している会社です。モノづくりがうまくいけば投資している人がもうかるし、社会問題の解決にもつながる。私はこんなふうに投資をとらえています」

――ファンドマネジャーに必要な資質を教えてください。

「人と違うことがやれる気質と、5つの能力です。人と違うことをするのはとても勇気がいりますが、同時に見返りが大きい。米国の投資家ウォーレン・バフェット氏も『常にコントラリアン(逆張り投資家)であれ』と言っています。ちょっとひねくれているくらいがいいかもしれません」

「必要な能力は(1)感受性(2)普遍化する能力(3)行動力(4)議論する能力(5)リスクを取る能力――の5つです。例えば、新しく人気のゲームが出たときに『面白そうだな』と気づき、さらに『どうしてこんなに流行るのだろう』と想像をぐんぐん広げていく。そこから行動して仮説を確かめ、考えが独りよがりにならないように仲間と議論する。最後は誰も拾わないボールを取りにいけるかどうか。周りがこぞって売っている銘柄でも買い向かうガッツが必要です」

――運用以外で力を入れていることはありますか。

「投資家へのレポーティングです。モノをつくっただけでは終わりません。メンテナンスが必要です。『おおぶね』は米国株式に投資するファンドなので、頻繁に現地に足を運んでいろんな会社の話を聞きます。最終投資家の代わりに行っているという感覚なので、それを日本語にして詳しく報告するのが私の仕事です。だから月次リポートや年次の運用報告書に100%の力を注いでいます。最近はSNS(交流サイト)などを使った情報発信も増やしました」

――高校生や大学生向けに投資の授業もされていますね。

「本当の意味での『投資』を若いうちに知っていてほしいと思い、投資についての特別授業を始めました。投資の本質はお金もうけだけではないですよ、ということを伝えたい。投資は自分のお金と時間と知恵をつぎ込んで間接的に世の中の問題解決に取り組むこと。それは資本主義の根幹でもあります。資本家(オーナー)として社会に参加するという選択肢がある。そのことを日本の若い人に気づいてもらいたいです」

「個人が資本主義の社会に参加するには、3つの方法があります。労働者になるか、オーナーになるか、働きながらオーナーになるか。日本では学校を卒業したら就職し、労働者として一生を終える『労働者マインド』が根強いですが、投資をすれば働きながらオーナーにもなれます。例えばディズニー株を買うと、ミッキーマウスが自分のために働いてくれる。超有名企業の株を買えば、そこの社長が自分の部下になる。すごく痛快ですよね。『投資をしましょう』、『オーナーシップを持ちましょう』と私が言っているのは、そういうライフスタイルの提案です」

――9月にファンドの名前を「おおぶね」に変えた理由は。

「わかりやすく、覚えやすい名前にしました。パッと目にした人の印象に残り、興味を持ってもらうきっかけになればいいと思っています。株を買ってオーナーになるということは、その会社の経営者と同じ船に乗るということです。どの船に乗るかがとても重要で、このファンドは本当に強い会社だけを選んでずっと持ち続ける。『売らなくてもいい会社しか買わない』というのがコンセプトです。おおぶねにのったような『安心感』を感じていただきたいという想いも込めました」

「生きていく上で、労働者としてお金を稼ぐ選択肢しかないと思うとつらいですよね。オーナーシップを持つというライフスタイルがあることを、このファンドを通じて根付かせていきたい。そうしないと、この国がどんどん貧しくなってしまうという危機感があります。来年は少人数の個人投資家を集めて投資について語り合う『寺子屋』を始めようと思っています。『企業オーナーになる投資』を広めるために、できることをコツコツやっていくつもりです」

(QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

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