職場のソフトをスマホに セールスフォースとアップル

2019/11/20 11:45
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アップルのクック氏とセールスフォースのベニオフ氏が協業をアピールした(19日、サンフランシスコ)

アップルのクック氏とセールスフォースのベニオフ氏が協業をアピールした(19日、サンフランシスコ)

【シリコンバレー=佐藤浩実】仕事で使うソフトをスマートフォンやタブレットのアプリで利用できるようにする動きが広がっている。米セールスフォース・ドットコムは19日、米アップルとの提携を通じて開発した、ビジネスの基礎知識を学ぶスマホ向け自習アプリを紹介。米マイクロソフトや米アドビもパソコン向けソフトのモバイル対応を進めている。働き方の多様化に加え、子供の頃からインターネットに慣れ親しんだ「Z世代」の存在が背景にある。

セールスフォースがサンフランシスコで19日に開いた年次イベント。マーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)はアップルのティム・クックCEOを壇上に迎えた。両社は約1年前に戦略提携を発表。今回のイベントでは、セールスフォースが提供する自習サービス「トレイルヘッド」のiPhone向けアプリを披露した。

同サービスはセールスフォースのソフトの使い方や営業・マーケティングの基礎知識などを学べる無料講座を集めたもの。15年にパソコンでの利用を念頭に提供を始めた。新たにスマホ向けアプリを出すことで、電車通勤時や会議の合間にも使ってもらいやすくする。アップルとの提携により「iOS」の新機能を早期に取り入れやすくなったという。

クック氏は企業でのスマホ利用について「(現状は)ウェブサイト閲覧やEメール、メッセージの送受信が中心だ」と説明。「いずれも重要だがアプリを使うことで仕事のやり方が変わる」と協業の意義を強調した。スマホ市場が成熟するなかで、アップルも企業利用の促進に力を入れてきたという。ベニオフ氏はすかさず「(既に)すべての業務をスマホで済ませている」と合いの手を入れて会場を沸かせた。

セールスフォースはスマホ向けの自習アプリを公開した(19日、サンフランシスコのイベントで説明する担当者)

セールスフォースはスマホ向けの自習アプリを公開した(19日、サンフランシスコのイベントで説明する担当者)

ベニオフ氏の例は極端だが、これまでパソコンで使うことを念頭に置いていた業務用ソフトをスマホやタブレットに対応させる動きは広がっている。

アドビは11月、デザイナーが使う写真編集ソフト「フォトショップ」のiPad版を製品化。描画ソフト「イラストレーター」も20年にiPad向けを出す計画だ。マイクロソフトも11月に業務ソフト「オフィス」の機能をまとめたスマホ向けアプリを発表し、同社子会社でソースコード共有サイトを運営するギットハブもiPhoneやiPad向けのアプリを公開した。

背景にはスマホなどの端末の処理能力が高まっていることに加え、小さい頃からインターネットに慣れ親しみ、スマホを使いこなす、1990年代や2000年代に生まれた「Z世代」が社会で活躍し始めたことがある。アップルがゲームやメモ帳などのアプリを集めた「アップストア」を始めたのは08年。当時の学生らが職場で働き始め、セールスフォースの新アプリも「顧客からの要望が強かった」(担当者)という。

在宅勤務などの働き方の多様化というトレンドも後押ししている。自宅でパソコンを開いてじっくり仕事をするのが難しい育児中の女性らが、スマホなどで業務をこなすといった使い方も想定しているもようだ。

クック氏は「(企業向けは)消費者の革命よりは遅れているが、ここまでの軌跡を誇りに思う」と話した。業務ソフトで広がるアプリ化の波は、成熟しつつあるスマホ市場に新たな価値を追加するだけでなく、職場の景色を変えていく可能性もある。

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