英与野党、EU離脱で非難応酬 初のテレビ討論

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ヨーロッパ
2019/11/20 7:33 (2019/11/20 7:36更新)
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【ロンドン=中島裕介】12月12日投開票の英国の総選挙に向けて19日、与野党両党首による初めてのテレビ討論が開催された。与党・保守党を率いるジョンソン首相は、選挙で勝って2020年1月末の欧州連合(EU)からの離脱を実現すると主張。労働党のコービン党首は離脱が実現できても、その後の20年末までの移行期間中にEUとの自由貿易協定(FTA)は締結できないと指摘し、「合意なき離脱」に陥るリスクがあると反論した。

直近の各種世論調査では解散前の勢いを保つ保守党が40%超の支持率で首位を走る。労働党は追い上げを図るものの10ポイント以上の差をつけられており、このテレビ討論で反転攻勢の糸口をつかめるかが焦点だった。ただ討論直後の英調査会社ユーガブの調査では、討論の評価は両者ともほぼ互角で形勢逆転にはつながらなかったもようだ。

討論で最もやりとりが白熱したのは、やはりEU離脱問題だった。

10月末が期限だった離脱協議では、ジョンソン氏が10月中旬にEUと新離脱協定案で合意したものの、新離脱案の慎重な審議を望む英議会の承認が得られずに時間切れとなった。ジョンソン氏は討論で「すでに離脱案はできている」と主張。選挙で過半数を獲得して早期の議会承認を得る計画を念頭に「1月末に英全土が完全に離脱し、ためらいや停滞に終止符をうつ」と訴えた。

離脱しても完全離脱の準備をするための20年12月までの移行期間内に、EUと新たなFTAを結ぶのは難しいとの指摘は多い。コービン氏は期間内にFTAを結ぶとしている保守党の主張を「ばかげている」と一蹴し、ジョンソン氏の離脱案のリスクを指摘した。ジョンソン氏は「新FTAを結ぶ時間は十分ある」と応酬したが、具体的な計画は語らなかった。

一方で労働党は党内が離脱派と残留派で分裂している。このため同党の公約は「EUと新たな離脱条件で合意したうえで、その離脱案か残留かを問う2度目の国民投票を行う」という苦肉の折衷案になっている。

ジョンソン氏は「コービン氏は離脱と残留のどちらを支持するのか基本的な質問に答えていない。国を導くリーダーには向いていない」と非難した。コービン氏は「国民投票に従う」と反論したものの、自らがどちらを支持するのか明確にしなかった。

経済政策では両者の立場の違いが際だった。

ジョンソン氏は18日に公的医療制度への財源捻出のために、予定していた法人税率の引き下げの延期を表明した。しかし企業への支援が経済活性化につながるとの基本姿勢は変えていない。

逆にコービン氏は労働者の待遇改善などの財源のために、段階的に下げてきた法人税率を「2010年の水準まで引き上げる」と主張。一方のジョンソン氏はコービン氏が鉄道や水道などの国有化を掲げていることも念頭に「資本主義を投げ捨てようとしている」と批判した。

両党は近日中にマニフェスト(政権公約)を公表し、さらに党首討論などを重ねたうえで投開票日に向かう。

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