関空対岸に新スケートリンク アジアの拠点めざす
未来像 関空アイスアリーナ代表理事 森本靖一郎さん

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関西
2019/11/20 7:01
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 もりもと・せいいちろう 1932年奈良県生まれ。関西大学文学部、同法学部卒業。55年に同大学へ。92年同理事、2004年同理事長、12年顧問、大阪府スケート連盟会長。16年一般社団法人関空アイスアリーナ設立、代表理事に就任。

もりもと・せいいちろう 1932年奈良県生まれ。関西大学文学部、同法学部卒業。55年に同大学へ。92年同理事、2004年同理事長、12年顧問、大阪府スケート連盟会長。16年一般社団法人関空アイスアリーナ設立、代表理事に就任。

■関西国際空港の対岸のりんくうタウン(大阪府泉佐野市)に、国際規格のスケートリンクなどを備えた「関空アイスアリーナ」(仮称)が12月にオープンする。森本靖一郎さん(87)は運営主体の一般社団法人関空アイスアリーナの代表理事として、世界から人が集まる魅力ある施設にしようと知恵を絞る。

アリーナにはフィギュアスケート、アイスホッケー、スピードスケートの大会や練習ができるスケートリンクのほかに、本格的なカーリング場2レーンも開設する。リンクには珍しく壁に窓を設け、関空を発着する飛行機などが見られるようにする。リンクの横には「千松庵」という茶室を設け、日本のおもてなしの心を外国から来た人にも感じてもらいたい。音響映像設備なども整える。

リンクの天敵は高温多湿と言われている。対策として、製氷に伴って出る熱や水分を循環させて利用する水耕栽培ハウスを隣接地に造る。また、製氷後に通常はお湯で溶かしている氷のくずを、次の氷を造る熱源に使い、製氷費用を抑えたい。

■大阪は大正時代の頃、日本で最初の屋内スケートリンクが市岡(港区)にできた歴史がある。ピーク時には大阪だけで10近くのリンクがあったが、現在、通年で滑ることができるのは3カ所程度だ。

関西はもともとスケートを楽しむ環境が整っており、アイスホッケーなどの人気も根強い。リンクの廃業が相次いだのは維持管理費がかさんだことが大きかった。私が関西大学の理事長だった時、高槻市にあったリンクが閉鎖し、選手らから「練習場所を確保してほしい」との声があがった。自前のリンクを持つことを大学に提案したが、私以外の理事は費用面から猛反対。そこでガスを使って冷媒を循環させ氷を造る技術を研究、運営費用の低減に成功し、高槻キャンパスでの大学初のリンク開設となった。

宮原知子さんら関大から世界に通じるフィギュア選手を輩出する効果を見て、日本人ほどフィギュアに合っている国民はいないと思うようになった。ただ、スケートの振興には関西にはリンクがまだ足りない。そこで大阪近郊で目を付けたのが関空の対岸だ。関空は東南アジアなど世界から人が集まる拠点でもある。東南アジアはスケート人気が高まっているが、リンクが少なく、コーチ人材も不足している。ここにリンクを造れば内外の合宿場所になりうる。各種関連施設も整え、スケートの拠点としたい。

淡路島で開かれた「運動会ワールドカップ」では実行委員長を務めた

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■大阪・関西では2021年のアジア初開催となるワールドマスターズゲームズ2021関西、25年の国際博覧会(大阪・関西万博)開催、カジノを含む統合型リゾートの誘致とイベントやまちづくり計画が目白押しだ。

「天の時は地の利にしかず、地の利は人の和にしかず」という孟子の言葉があるが、今の大阪は天の時とも言える発展に向け絶好の機会を迎えようとしている。地の利でいうと、大阪は近くに京都や奈良、琵琶湖、高野山、淡路島、瀬戸内海などがある。関空など3空港も整っている。食の宝庫であることも忘れてはならない。

スポーツは観光の重要な要素の一つでもある。りんくうタウンにはすでに日本有数のアウトレットモールがあり集客拠点になっている。アリーナができることでスポーツ、観光、さらには、大阪に欠けているとされる文化振興の核の一つとなってくれればと思う。それには大阪の産官学が一致して進めるという、人の和が重要だ。

「理想を失う時に初めて老いが来る」(米国の詩人、サミュエル・ウルマンの「青春」)。青春の気概を失わず、新たな世界に挑戦していきたい。

(聞き手は野間清尚)

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