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困難から「リバウンド力」 J1浦和・宇賀神友弥(下)

2019/11/24 3:00
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宇賀神友弥が左サイドバックとして一人前になれたことは、浦和ジュニアユース・ユース時代の監督だった淀川知治(現尚美学園大学サッカー部監督)には驚きでもあった。20年前の、お粗末な左足のキックが思い浮かぶ。「(やはり)プロになれたなという子と、プロになれたの? という子がいる。彼は後者」

センスあふれる英才ではなかった。トップチーム昇格ではなく流通経大への道を選んだ。とんとん拍子とはいかず、練習場の近くで見つかった遺跡で発掘作業担当になった日々もある。社会人リーグに属するBチームではるばる遠征も。遠回りの下積み時代は「つらい思いもしたと思う」と淀川はおもんぱかる。

ユース時代から光っていたという積極性とパンチ力は健在だ

ユース時代から光っていたという積極性とパンチ力は健在だ

本人にとっては笑い話。「失敗ならありすぎて」。壁にぶつかるのは慣れっこで、自分の及ばない才能に出合ってもかなわないとは思わなかった。「そのたび、その人を負かしたいと思ってきた。ここを乗り越えればどんな自分が待っているのかとワクワクして」

昨年の日本代表デビュー戦でPKを与えたうえにケガで途中交代。が、その年末の天皇杯決勝で決勝ゴール。壁に直面したときの反発力が宇賀神を宇賀神たらしめている。

プロ2年目のとき。スパイクのインソールを個別にメーカーと契約していた。プロは物品やウエアは提供されて当然、とてんぐになっていた。担当者から「足型を把握して開発に生かしたい。データを送って」と頼まれていたが、面倒がって怠った。ある日、インソールに手紙が。「この1足が最後。こんな失礼な人間とは仕事はできない」

人としてのあり方意識、甘え戒め

「サッカー選手だからOK、ではダメ。互いに大人。君も社会人なのだからしっかりしないと」と叱ってもらえて目が覚めた。以後、プロだからという特権意識や甘えを戒めている。プロである以前に、人としてのありようが問われていると肝に銘じてきた。

根はネガティブ思考。ただし、失敗に敏感だからこそ常に考えを巡らせ、予防線も張れる。「客観的に物事を見て、考える力は他の人にはないものだと思う」と自負する。数々の失敗は、宇賀神の言葉を借りれば「リバウンド力」を育んだ。「突破をしかける積極性、シュートのパンチ力は昔から光っていた」と淀川が指摘する特長は健在だが、キャリアを長引かせたのはリバウンド力なのだろう。

「昔から覚悟も、芯もあった。人として頑張ってくれた」。たたき上げの秀作といえる教え子へ贈る、淀川からの最高の褒め言葉である。=敬称略

(岸名章友)

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ユース時代から光っていたという積極性とパンチ力は健在だ

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