ロシア最大のネット企業、事実上の国家管理に

ヨーロッパ
2019/11/18 23:32
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モスクワにあるヤンデックス本社に掲げられたロゴ=ロイター

モスクワにあるヤンデックス本社に掲げられたロゴ=ロイター

【モスクワ=石川陽平】ロシア最大のインターネット企業で、モスクワ市場と米ナスダック市場に株式を上場するヤンデックスは18日の取締役会で、プーチン政権による事実上の国家管理を受け入れると決めた。外資の経営参加を制限し、知的財産の海外流出を防ぐ狙い。戦略的に重要なIT(情報技術)産業への監督を強化したい政権の意向が強く働いている。

プーチン政権は2000年の発足以降、石油やマスコミ、金融、穀物など戦略的に重要な分野に対する国家管理を相次ぎ強めてきた。米欧との関係が悪化し、サイバー空間での攻防が激しくなる中で、インターネットを中心とするIT分野でも国家管理の強化を急いでいるとみられている。

ヤンデックスは取締役会で、重要な経営問題で大きな決定権を持つ公益ファンドを新たに設立すると決定した。企業統治を大きく変更する。公益ファンドに会社合併など重要な案件で拒否権を行使できる「黄金株」という特別な株式を保有させる。ファンドの運営には現経営陣のほか、政権に近い経営者団体や国立大学の代表が加わる。

黄金株は原則として企業が1株だけ発行できる。仮に普通株を買い占められた場合でも、黄金株を保有する株主が重要事項の議決を拒否できる。

ヤンデックスの黄金株はこれまで政府系銀行が保有していたが、公益ファンドに移せば政権の意向が反映しやすくなる。

取締役会を終えたヤンデックスは公益ファンドが決定に参画できる重要な経営事項として(1)1人の株主による10%以上の株式保有や重要な知的財産の譲渡(2)大量の個人情報に関する会社規定の変更(3)外国政府との協力関係の調整――をあげた。

公益ファンドが日常業務の執行や決定に関与することはないという。

インタファクス通信によると、公益ファンドの設立について、ヤンデックス側は事前に大統領府と調整した。大統領府関係者は「国家利益を守る一定の保証になる」と述べた。同社が主導する国内のインターネット関連市場で外資がシェアを広げたり、関連技術が外国企業に流出したりする事態を防ぐ狙いが政権にあることを示唆した。

ヤンデックスは2000年にいまでも最高経営責任者(CEO)を務めるアルカジー・ウォロシュ氏が設立した。ロシア国内のネット検索市場の50%以上を握り、同国や旧ソ連諸国を中心にポータルサイトやネットショッピングなど様々な関連サービスを手がける。18年の売上高は1276億ルーブル(約2200億円)。

18日のモスクワ市場でヤンデックスの株価は一時、前日終値に比べ7%超上がった。ヤンデックスが同日発表した3億ドル(約330億円)の自社株買いのほか、同社の経営に対するプーチン政権の介入の度合いが市場で噂されていた規模よりも小さいと受け止められたことが影響したようだ。

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