習指導部、妥協せず 解放軍「自発的出動」で瀬踏みか

2019/11/18 18:18
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14日、BRICS首脳会議で中国の習近平国家主席は香港のデモを「暴力的な犯罪行為」と非難した=AP

14日、BRICS首脳会議で中国の習近平国家主席は香港のデモを「暴力的な犯罪行為」と非難した=AP

【北京=高橋哲史】中国共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部は香港の過激な若者らに一切妥協しない姿勢を強めている。最高指導者である習氏が事態収拾に向けて自ら前面に出るようになり、デモを抑え込めなければ習氏や党の権威に傷がつきかねないとの危機感もにじむ。

党機関紙の人民日報は18日、1面に「『一国二制度』の原則に対するいかなる挑戦も絶対に許さない」と題する論説を掲載した。学生らの抗議活動を「暴力犯罪」と断じ「その目的は香港政府から施政権を奪い、香港を独立か半独立の政治実体に変えることにある」と厳しく批判した。人民日報が1面にデモの徹底的な取り締まりを強調する論説を載せたのは3日連続だ。

習氏は14日にブラジルで開いた新興5カ国(BRICS)首脳会議で香港のデモを「暴力的な犯罪行為」と非難した。それ以降、中国の官製メディアはせきを切ったように学生らを「犯罪者」と決めつけるキャンペーンを繰り広げている。

学生らの狙いを「香港独立か半独立」にあると断定するのは、武装警察部隊(武警)や人民解放軍の投入に道筋を開く目的との臆測もくすぶる。

人民解放軍の香港駐留部隊の兵士は16日、駐屯地から出て「自発的に」デモ隊が残したがれきの撤去作業に加わった。香港の「憲法」にあたる香港基本法は解放軍が出動するには「香港政府の要請」が必要だと定めるが、今回の「出動」はそうした手続きを経ていない。香港の民主派は「抗議活動へのけん制だ」と強く反発する。

軍や武警の介入は国際社会の非難を呼び、「部分合意」を探る米国との貿易協議にも影響しかねない。中国メディアは香港警察を「暴徒」と戦う「英雄」とさかんに報じている。当面は治安回復を香港警察にゆだね、軍や武警の投入は避けたいのが習指導部の本音だとみられる。

しかし、香港の混乱に手をこまねいているような印象を持たれれば、党内から習指導部への批判が出かねない。

10月末に開いた党の重要会議である第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)では、共産党の一党支配を強めるために習氏への権限集中をさらに進める方針を決めたばかりだ。習指導部のなりふり構わぬ強硬姿勢から浮かぶのは、出口の見えない「香港の反乱」に対する焦りでもある。

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