理想宮を1人で築く 郵便配達員描いた仏映画

文化往来
2019/11/22 2:00
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フランス映画「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」の場面(C)2017 Fechner Films -Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne - Rhone  - Alpes Cinema

フランス映画「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」の場面(C)2017 Fechner Films -Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne - Rhone - Alpes Cinema

フランス南東部ドローム県の小さな村に「シュヴァルの理想宮」と呼ばれる建造物がある。郵便配達員のジョゼフ=フェルディナン・シュヴァル(1836~1924年)が材料となる石を拾い集め、たった一人で33年かけて手作業で築いた。芸術教育を受けていない彼の奇想天外なアウトサイダー・アートにピカソら芸術家たちも驚嘆し、69年にはフランス政府の重要建造物に指定されている。

フランス映画「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」の場面(C)2017 Fechner Films -Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne - Rhone  - Alpes Cinema

フランス映画「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」の場面(C)2017 Fechner Films -Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne - Rhone - Alpes Cinema

このシュヴァルの物語がフランスで劇映画となり、「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」と題して12月13日から日本公開される。

映画「女ともだち」などに出演した俳優で、パリ・オペラ座バレエ団の舞台裏を描いたドキュメンタリー映画「エトワール」の監督としても知られるニルス・タヴェルニエがメガホンをとった。「シュヴァルは特別な人生を歩んだ人物。いろいろな障害があっても乗り越える。まさに映画的なヒーローなんだ」と監督は映画化の理由を語る。

フランス映画「シュヴァルの理想宮」のニルス・タヴェルニエ監督

フランス映画「シュヴァルの理想宮」のニルス・タヴェルニエ監督

シュヴァルはパン職人の修業を経て、31歳から郵便配達員として働くようになった。配達の途中で奇妙な形の石につまずいたのをきっかけに、まな娘のために石を積み上げ、おとぎの国の宮殿を作ろうと思い立つ。前妻と彼女との間に生まれた幼い子を亡くし、再婚してまな娘をもうけたシュヴァル。言葉が少なく、他人とコミュニケーションを取るのが苦手な彼にとって、「自分の気持ちをうまく言葉にできない代わりに行動で娘への思いを表現した」と監督は解釈したという。

村人たちに変わり者扱いされながら築いた理想宮は、新聞や雑誌、絵はがきなどで知った外国の建造物や景色などをモチーフにし、現在では世界各地から観光客が訪れる。映画の撮影には実際の理想宮をロケ地に使用した。「自然とともに生きたシュヴァルの感覚を表現したい」という監督の意図で、鳥の声や風の音など「彼が耳にしたであろう自然の音も取り入れた」という。「シュヴァルは変わった男だったが、この映画はむしろ夫婦の普遍的な愛情の物語であり、家族の物語でもある」と監督は話す。出演はジャック・ガンブラン、レティシア・カスタほか。

(関原のり子)

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