米民主の弾劾調査、EU大使に照準 大統領の意向把握

トランプ政権
2019/11/16 17:48
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【ワシントン=中村亮】ウクライナを巡るトランプ米大統領の不正疑惑の調査で、野党・民主党はゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)大使への追及を強める。トランプ氏と直接連絡を取り、政敵の不正調査をウクライナ政府に働きかけたからだ。トランプ氏が不正行為に関与した決定的証拠が見つからない中で、同氏の言動を直接把握するソンドランド氏を突破口にしたい考えだ。

米民主党はトランプ大統領が再選のためにウクライナ政府に支援を求めたとみている(15日、ワシントン)=AP

米CNNテレビによると、在ウクライナ米大使館職員が15日、議会の非公開証言に応じた。職員は7月下旬にウクライナのゼレンスキー大統領と面会するためキエフを訪れたソンドランド氏に随行し、同氏とトランプ氏の電話でのやり取りを聞いていた。民主党はトランプ氏が2020年の大統領選で優位に立つため有力候補のバイデン前副大統領の不正調査をウクライナ政府に働きかけた疑いを調べている。

職員によると、トランプ氏は電話で「ゼレンスキー氏は調査に着手するのか」と質問。ソンドランド氏は「やる。彼はあなたが頼んだことは何でもやる」と応じた。このやり取りの前日にはトランプ氏が不正調査をゼレンスキー氏に電話で直接要請したばかりだ。トランプ氏はソンドランド氏を通じて、ウクライナ側の出方を探ったとみられる。

ソンドランド氏は20日の公聴会に出席する。トランプ氏は調査要請を大統領再選に向けた選挙戦略と無関係だと主張する。だがソンドランド氏が選挙対策を意図したトランプ氏の言動を証言すれば連邦法違反の疑いが強まり、弾劾訴追の根拠になる。トランプ氏の意向を直接知るとみられるマルバニー大統領首席補佐官代行やジュリアーニ顧問弁護士は証言を拒んでおり、民主党にとってソンドランド氏は貴重な証人だ。

ソンドランド氏は軍事支援の見返りにバイデン氏の調査をウクライナ政府に求めた。10月の非公開証言ではトランプ氏の指示を否定したが、民主党は軍事支援をめぐるトランプ氏とのやり取りを改めて追及する見通しだ。ソンドランド氏はこれまでに非公開証言の内容を後に修正したことがある。トランプ氏が見返り要求に関与していれば「職権乱用」の疑いが強まる。

19~21日の公聴会にはカート・ボルカー元ウクライナ担当特別代表も出席する。ソンドランド氏と連携しウクライナ政府にバイデン氏の調査を働きかけた人物だ。米政権内で調査要求に反対した米国家安全保障会議(NSC)のウクライナ担当アレクサンダー・ビンドマン陸軍中佐やフィオーナ・ヒル元上級部長(ロシア・欧州担当)も証言する。

15日の公聴会ではウクライナ疑惑の真相とは別にトランプ氏による調査妨害の疑いが強まった。公聴会の進行中に証人のヨバノビッチ元駐ウクライナ大使について「赴任した国はどこもひどい状況になった」とツイッターで主張した。民主党は証人の信用をおとしめる行為を「脅迫だ」と非難した。

トランプ氏はこれまでに政府関係者に対して調査協力を拒否するよう呼びかけており、民主党は調査妨害と主張してきた。15日のツイートを踏まえ、民主党はこの主張をさらに強める見込みだ。

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