米中協議、農業・知財で詰め 部分合意へ正念場

トランプ政権
貿易摩擦
2019/11/16 19:30
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ロス商務長官は15日、近く閣僚級の電話協議を行う見通しを示した=AP

ロス商務長官は15日、近く閣僚級の電話協議を行う見通しを示した=AP

【ワシントン=河浪武史、北京=原田逸策】米中両国が貿易交渉で目指す「第1段階の合意」が遅れている。農産物貿易の拡大や知的財産権の保護などで決着を目指すが、中国は制裁関税の大幅撤回を求めており、一致点を見いだせないためだ。合意文書の署名は当初想定した11月中旬が困難となり、米政権が予定する12月中旬の制裁関税第4弾の発動が迫る。

ロス商務長官は15日、近く閣僚級の電話協議を行う見通しを示した。米メディアなどによると、米政権は15日夜(日本時間16日朝)、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表らが中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相と約2週間ぶりに電話で会談したもようだが、詳細は明らかになっていない。

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両国は当初、16~17日にチリで予定したアジア太平洋経済協力会議(APEC)にあわせて首脳会談を開き、トランプ米大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席が合意文書に署名する予定だった。チリの治安悪化でAPECそのものが中止となり、首脳会談も宙に浮いたままだ。

10月中旬にはライトハイザー氏らと劉鶴氏がワシントンで直接会談し、中国が米国産の農産品を大量購入することなどで一致した。トランプ氏は10月15日に予定していた制裁関税の引き上げを先送りし、18年7月から続く関税合戦に雪解けの兆しもみえていた。

トランプ氏はその後も「第1段階の合意は間近だ」と繰り返し、クドロー国家経済会議(NEC)委員長も14日に「交渉は最終局面にある」と強調した。ロス長官は15日の米テレビ番組で「第1段階の合意は極めて高い確率で実現する」と述べるなど、米政権には楽観論が強い。

もっとも、水面下では条件闘争が終わっていない。中国は農畜産品や液化天然ガス(LNG)を米国から大量購入すると持ちかけているが、米国は「2年以内に年400億~500億ドル(約4兆3千億~5兆4千億円)」(トランプ氏)と輸入量を倍増する高いハードルを掲げ、履行を確実にするために数値目標の合意も求める。中国側は「倍増は非現実的」と主張し、未達なら制裁再開のリスクがあるため、数値目標の設定にも慎重だ。

ホワイトハウス高官は「知的財産権の保護でも主張に隔たりが残っている」と明かす。米国側はナバロ大統領補佐官(通商担当)ら対中強硬派が「中国は嘘をつき続けてきた歴史だ」と主張し、知財保護の執行など中国の法制度の詳細まで検証を求めている。中国側は過度な干渉に「国家主権の問題だ」と態度を硬化させており、折り合いがつかない。

中国側は制裁関税の撤廃を「合意の重要な条件」(商務省の高峰報道官)と強調する。高氏は7日に「米中は段階的に追加関税を撤廃することで合意した」と発言したが、トランプ氏がすぐさま否定。関税撤回の規模や時期を巡っても条件闘争が続いている。米国側は第1段階の合意後には12月15日に予定する関税第4弾(1600億ドル分)を撤回する考えだが、中国側は9月に発動した1100億ドル分の撤回も求めているようだ。

首脳会談の開催場所も綱引きの材料になっている。トランプ氏は「アイオワなど米国の農業州で開催する」と主張するが、中国は否定的だ。習氏が14日にギリシャなどへの外遊を終えると、中国の王毅外相は「今年の習主席の最後の海外訪問は欧州だった」と述べた。年内の訪米を否定し、米国を暗にけん制したとみられる。

トランプ氏は12日の演説で「合意できなければ大幅に関税を上げる」と改めて中国に圧力をかけた。米国は米連邦準備理事会(FRB)の3回の利下げで景気不安が一服し、株価も再び最高値を更新した。底堅い米国景気と市場動向がトランプ氏を再び強気にさせており、両国の交渉を膠着させる要因となっている。

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