中国、拘束の北大教授を解放 関係改善の流れに配慮

2019/11/15 19:30 (2019/11/15 20:32更新)
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菅義偉官房長官は15日の記者会見で、9月に中国当局に拘束されていた40歳代の邦人男性の解放を確認したと発表した。男性は北海道大教授の岩谷將氏。菅氏は同日に帰国したと明らかにし「健康上、特段の問題がないと本人から聞いている」と語った。来春の習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓来日を控え、中国側が両国間の懸案解決に動いた。

安倍晋三首相は首相官邸で記者団に「私自身、一日も早く家族のもとに帰れるよう強く要請してきた。無事に帰国し、家族と再会できたことは本当によかった」と述べた。

男性は過去に外務省や防衛省防衛研究所に勤務歴がある。準公務員である国立大の教員が拘束されたのは初めてとみられる。中国近現代史などを専門にしている。

中国外務省の耿爽副報道局長は同日、国家機密に関わる資料を保持したとして、刑法と反スパイ法に違反した疑いで9月8日に国家安全省が拘束したと説明した。「これまでも大量の機密資料を違法に収集していたことを本人が供述した」と指摘し「法に基づき教育と戒めをしたうえで釈放することにした」とも話した。

中国当局は中国国内での外国人の情報収集への取り締まりを強化している。2014年に反スパイ法を定め、15年から国家安全法を施行した。15年以降、9人の日本人が起訴された。5月には日中友好団体の役員の男性に対し、スパイ活動を理由に懲役6年の実刑判決を言い渡した。18年に拘束された大手商社、伊藤忠商事の男性社員は公判中だ。

今回の解放は日中関係改善の流れが背景にある。茂木敏充外相は15日、外務省で記者団に「習主席を良い環境でお迎えしたい中で、懸案を処理していく一環として(解放が)実現した」と強調した。安倍首相は10月に来日した王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席、11月上旬にタイで会談した李克強(リー・クォーチャン)首相にそれぞれ対応を求めていた。

トランプ米政権との対立が長引く中国の習指導部にとって日本との関係改善は最重要課題のひとつだ。北京の外交筋は「日中関係の改善を優先したのだろう」とみる。安倍首相は習主席の来日に先立ち12月下旬、日中韓首脳会談のために中国を訪れ李首相に会う。習主席との会談も調整する。

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