SPORTSデモクラシー

フォローする

札幌変更「仕方ない」 スポーツ界でお人よしの日本
ドーム社長 安田秀一

Tokyo2020
(1/3ページ)
2019/11/26 5:30
保存
共有
印刷
その他

酷暑のドーハで開かれた世界陸上では途中棄権者が続出した(男子20キロ競歩でゴールした選手たち)=ロイター

酷暑のドーハで開かれた世界陸上では途中棄権者が続出した(男子20キロ競歩でゴールした選手たち)=ロイター

東京五輪のマラソンと競歩が札幌で開催されることになりました。国際オリンピック委員会(IOC)が突然、会場変更を言い出し、問答無用で決めてしまいました。その強引な態度に怒りや反発を感じる人も多いでしょう。ただ米スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店、ドームで社長を務める安田秀一氏は、その経緯を「仕方ないよ」と話します。スポーツビジネスに詳しい同氏が日本スポーツ界の現状に斬り込みます。

◇   ◇   ◇

東京五輪のマラソンと競歩の開催地が約800キロ離れた札幌に変更されることになりました。東京都の小池百合子知事は「合意なき決定」と最後まで納得せず、IOCの強引なやり方を批判する意見もあります。ただ、僕に言わせると「それは仕方ないよ」という理解になります。

■ルールはIOCが作っている

酷暑のドーハで開催された陸上の世界選手権で途中棄権が相次ぐなどの惨状を教訓とし、五輪ブランドのイメージ低下を恐れたIOCが開催地変更をしたのは賢明な判断だと思えます。もとより、IOCは最初から競技場所を変更する権限を持っています。つまり、日本は五輪のために土地を貸してあげているだけで、大会を作っているのもルールを作っているのもIOCなわけです。その大会や定めるルールが気に入らないのであれば、そもそも「招致しない」や「出場しない」という選択をすればいい、ということです。これは、日本高等学校野球連盟(高野連)の運営に異議がありつつも、甲子園大会に出場したいから高野連に加盟し、その運営方針やルールに従って試合に出場する、という構図と同じです。

高野連の運営が気に食わなければ、同じ考え方の高校が集まって、甲子園大会に対抗する野球大会を自分たちで作ってしまえばいい話です。

ですので、東京五輪についても、IOCの運営が気に入らなければ、最初から五輪に参加しなければいいし、開催地として立候補しなければいい、ということなわけです。例えば、国や都市ではありませんが、国際サッカー連盟(FIFA)は、五輪にA代表を出場させない、という選択をとって、自らが主催する「サッカーワールドカップ」の価値を高めています。

もし、日本代表サッカーチームが、本気で東京五輪で金メダルが欲しければ、FIFAの取り決めに逆らって、A代表を送り込むことを考えてもいいかもしれません。もし日本サッカー協会が「ワールドカップより五輪の金メダル!」と決めたとしたら、FIFA主催のワールドカップ出場を断念する代わりに、東京五輪にA代表を送り込むことを認めてもらうように交渉することは可能かもしれません。

めちゃくちゃな議論を展開したいのではなく、上の事例はルールは「従うモノ」ではなく、「作るモノ」ということを、より具体的に考えるための「頭の体操」です。

つまり、ルールに従うことを前提に開催地に立候補した東京が、IOCに文句をいうこと自体がナンセンスだし、そんな前提の公開討論など見せられたところで、むなしさしか感じることができません。

主観で恐縮ですが、日本人はルールを「作る側」ではなく「従う側」ばかりにいる、という現実に鈍感すぎると思っています。どこかの誰かが、今日この瞬間にも重要なルールを作っているわけで、日本人も決められたルールに文句を言うのではなく、ルールを作る側になる、つまりIOCの会長や、札幌移転を決める調整委員のトップを目指すべきだと思うのです。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

関連コラム

電子版トップスポーツトップ

SPORTSデモクラシー 一覧

フォローする
酷暑のドーハで開かれた世界陸上では途中棄権者が続出した(男子20キロ競歩でゴールした選手たち)=ロイターロイター


 東京五輪のマラソンと競歩が札幌で開催されることになりました。国際オリンピック委員会(IOC)が突然、会場変更を言い出し、問答無用で決めてしまいました。その強引な態度に怒りや反発を感じる人も多いでしょ …続き (11/26)

MGCではコースの沿道に大勢の観客が詰めかけた(右から4人目が岩出玲亜選手)=共同共同


 ラグビーで日本が盛り上がっています。アジアで初めて開催したワールドカップ(W杯)で日本代表が初めて8強入りの快挙を成し遂げました。9月にはもう一つ、大きな盛り上がりがありました。東京五輪の切符がかか …続き (10/24)

第101回全国高校野球選手権大会で初優勝を果たし、喜ぶ履正社ナイン(8月22日、甲子園球場)=共同共同


 101回目の「夏の甲子園」は投手の球数制限などについて多くの人の関心を集めました。優勝した履正社高校(大阪)をはじめ、ベスト4のチームはいずれもエースだけでなく複数の投手を起用して勝ち上がりました。 …続き (9/9)

ハイライト・スポーツ

[PR]