北陸企業4~9月期、減益過半に 米中摩擦が重荷

北陸
2019/11/14 20:00
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北陸3県の主要な上場企業の2019年4~9月期の業績を集計したところ、米中貿易摩擦による海外景気の減速などで最終損益が前年同期を下回る企業が目立った。32社のうち19社が減益で、通期の業績予想を下方修正した企業も相次いだ。足元の受注が伸び悩む中、製造業を中心に自動化による生産性向上やコスト削減で利益を確保する取り組みが広がる。

フクビ化学は6月、生産性向上に向け車載パネルコーティング工場を新設した(福井県坂井市)

フクビ化学は6月、生産性向上に向け車載パネルコーティング工場を新設した(福井県坂井市)

「前期は輸出が好調だったが、今期は米中貿易摩擦の影響で中国向けの受注が落ち込んでいる」。産業用チェーンのオリエンタルチエン工業の西村武社長は表情を曇らせる。主力のチェーン事業は営業利益が前年同期比48%減の8500万円。20年3月期の最終利益は前期比60%減の3100万円に下方修正した。

中国で投資を控える動きが広がり受注が減ったほか、北米向けも低迷。西村社長は「省力化によるコスト削減で業績回復につなげたい」と語る。機械設備を順次新しいものに切り替え、一部のチェーンは製造工程を外注から内製化に切り替える。20年3月期末に労働生産性を3年前に比べて3割向上を目指す。

工作機械製造の高松機械工業も「米中貿易摩擦の影響で中国の受注が減っている」(高松宗一郎社長)。タイの子会社も中国の景気低迷のあおりを受けているとみており、工作機械の9月末の受注残高は139億円と前年同期に比べて3割減少した。

ただ受注残は依然として高水準で「本社工場の生産能力では限界」(高松社長)という。35億円を投じて21年4月に稼働させる新工場で、あらゆるモノがネットにつながるIoTを駆使した省力化に取り組みながら増産体制を整える。

樹脂加工品のタカギセイコーは自動車関連で先行きに不透明感が漂う中、6月に樹脂と金属を組み合わせた複合材料などを開発する先端技術開発センターと、生産効率化を目指すものづくり改革部を新設した。

4~9月期は高付加価値品の比率が高まり利益率が向上したが、採算性の低い自動車部品などの受注を減らし売上高は減少した。高木章裕社長は「より高付加価値な部品を作りたい」と話す。

海外からの受注の伸び悩みに対し、堅調な国内市場への注力や新製品開発で対応しようとする動きも出てきた。

陶磁器やセラミック製品などのニッコーは車載センサーが落ち込んだほか「香港のデモや中東景気の減速、ホルムズ海峡の治安悪化が陶磁器の販売に影響が出ている」(三谷明子社長)という。

一方で内需関連では環境規制によりトイレの排水と生活雑排水を同時に処理する合併処理浄化槽の需要が高まっている。三谷社長は「新設が禁止された単独型がまだ400万基残っている。合併型への買い替え需要を取り込みたい」と語る。

足元では海外経済の停滞感は強いが、中国の景気回復などを見据えた動きも出ている。フクビ化学工業は新製品の開発に注力する。産業資材事業で、主力の車載用パネルのコーティングが伸び悩んだが釆野進副社長は「中国の景気は底を打っている」と分析する。その上で「2~3年後の新モデル車への採用を見据えて新製品の開発を続けていく」と語る。

増税還元で減益も

10月の消費増税率引き上げについては「2014年の増税時に比べて駆け込み需要や反動減の影響が緩やか」との声が小売・外食企業では多い。ただ、政府が新たに始めたキャッシュレス決済のポイント還元策への対応を迫られた企業もみられた。

上場企業で資本金が大きくポイント還元制度の対象に入らないアルビスは、政府の補助を受けて還元する一部の食品スーパーに対し、自社の原資を使った値引きやポイント還元策などで対抗する。こうした対策で販売費が経常利益ベースで4億円の減益要因となる。

同社の20年3月期の経常利益見通しは前期比50%減の15億円で、販売費がもたらすインパクトは大きい。

ハチバンは10月からラーメン店の全店で電子マネーやクレジットカード決済の端末を導入した。増税後のキャッシュレス決済の比率は7%から15%となった。10月以降の客足は「増税の影響は軽微」としたが、台風19号などで外食を控える動きが目立ったという。

繁忙期の年末年始に向けた商品PRや新商品を投入することで落ち込みを取り戻すとし、20年3月期通期の業績予想は連結純利益を前期比16%増の2億円に据え置いた。

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