「登山届」の仕組み、海でも活用 遭難時の救助素早く

2019/11/15 6:33
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各地でプレジャーボートの事故が相次ぐ(海上保安庁提供)

各地でプレジャーボートの事故が相次ぐ(海上保安庁提供)

プレジャーボートや漁船など小型船の事故が相次ぐなか、海の事故防止に取り組む団体などが山の「登山届」と似たような仕組みを海にも導入する取り組みを始めている。専用アプリを通じ航海計画や位置情報を家族やマリーナ管理者らと共有する。遭難情報を把握すれば、海上保安庁などに救助要請して素早い捜索・救助活動につなげたいとしている。

内閣府の交通安全白書によると、2018年に起きた船舶事故は2178件あり、うちプレジャーボートが981件と約4割に上った。プレジャーボートや漁船などの小型船が事故全体の約7割を占めている。マリンレジャーが急速に普及し、初歩的な知識や技術が不足した運航者が増えているためという。

プレジャーボートや漁船などの小型船は船舶自動識別装置(AIS)を搭載していないことが多い。AISは船や周辺の船の位置や針路などをモニターで把握できる無線装置で、衝突防止や運航管理に使われる。海上人命安全条約で世界を航海する300総トン以上のすべての船と全ての旅客船などに搭載が義務づけられている。

AISを搭載していない場合、遭難しても発覚が遅れたり場所の特定が難しかったりする。海保は広範囲を捜索する必要があり、救助率も低下する。海保の担当者は「遭難時に位置情報や航跡から漂流地点を予測できれば、捜索を効率化して救助率を高められる」と説明している。

山では連絡先や予定ルートを記した登山届を警察などへ提出する必要があり、遭難時の捜索に活用できる。近年はネットから提出するサービスもあり、約10万人の会員がいるという。

航海ではタンカーや旅客船など大型船を除き、出入港予定や航海ルートを把握する仕組みがない。このため、事故防止に取り組む公益社団法人の関東小型船安全協会(横浜市)とアプリ開発のインフカム(東京・渋谷)がスマートフォンアプリ「マリンコンパス」を開発し、運用を始めた。

利用者はまずアプリに出入港の時間や航海ルート、緊急時の連絡先を登録する。スマホの全地球測位システム(GPS)を使い、船の位置や航跡を捕捉する。航行中の自船位置のほか、海保が公開する情報や周辺の気象状況なども確認できる。

予定時間に港に戻っていない場合は、自動で家族や船の管理者ら緊急連絡先に通知する。早期の安全確認や海保への救助要請が可能になる。アプリの位置情報や航跡をもとに範囲を狭めて捜索できるとしている。

アプリは無料で使え、運営費は企業の広告掲載料などでまかなう。マリーナ管理者や漁協向けの有料版もあり、所属する船のリアルタイムの位置情報や航跡記録、過去の航海計画を確認できる。100隻ほど所有する管理者の場合、費用は年30万円程度という。

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