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「自我自損」展 画家・横尾忠則の自画像(展覧会評)

横尾忠則「2:1」(2000年ごろ、作家蔵)

グラフィックデザイナーとして活躍する一方、1980年代初頭のいわゆる「画家宣言」以降、大胆に作風を変えながら美術の世界でも精力的に活動を行っている横尾忠則。神戸市灘区の横尾忠則現代美術館にて開催中の展覧会「横尾忠則 自我自損」は、横尾の過去作の中から、彼自身がおよそ70点を選定して展示を行った展覧会である。

本展のタイトルが基にしているのは「自画自賛」、すなわち「自らの絵に自ら賛を入れる」という言葉である。この言葉が示唆するように、本展において横尾は過去作に自ら加筆した作品をいくつか出展している。と同時に「自我自損」というタイトルが示す通り、本展には損なわれている作品がある。それは「画家宣言」以前の横尾の仕事、とりわけグラフィック・デザインの仕事である。70年代に制作された絵画作品が一点のみ出展されているものの、それ以外はすべて80年以降に描かれた絵画作品であり、色鮮やかなポスターなど、よく知られた彼のグラフィック・デザインの仕事は出展されていない。

こうした「自賛」と「自損」という態度を端的に示すのが、過去作のポスターを事後的に絵の具で加筆したシリーズである。わざわざ額装して展示されるこのシリーズにおいて横尾は、過去のデザインを加筆によって絵画作品へと変容させ、自らがデザイナーではなく画家であることを誇示している。かくして本展が描き出すのは、ファイン・アートに憧憬とコンプレックスを抱きながら絵画に傾倒する旺然たる画家・横尾の自画像である。ただし、その背後には自らをそのような画家であると観客に思わせようとするキュレーター・横尾の思惑が潜んでいることも忘れてはならない。

(京都造形芸術大学専任講師 林田 新)

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