ロシア経済、1.7%に回復 通年予想は下方修正相次ぐ

2019/11/14 18:08
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【モスクワ=小川知世】ロシア連邦統計局によると、同国の7~9月の実質国内総生産(GDP)の速報値は前年同期比で1.7%増となった。4~6月の0.9%増から改善した。政府が巨額の国家事業を本格化し、成長率を押し上げた。ただ、個人消費や民間投資は低迷が続いており、世界銀行などは年間のGDP成長率の予想を相次ぎ下方修正している。

ロシアのプーチン大統領は閣議で国家事業による景気浮揚を訴えた(11日、モスクワ)=AP

政府は景気をてこ入れするため、インフラ整備や保健、教育など13分野で2019~24年に官民で約26兆ルーブル(44兆円)を投じる国家事業の執行を急いでいる。タス通信によると、19年(暦年)予算の執行率は、1~6月では約30%にとどまっていたが、10月末までに65%まで高まった。

プーチン大統領は11日、モスクワで開いた閣議で「国家事業の実現に不可欠なハイテク製品はロシア企業が生産すべきだ」と述べ、景気浮揚効果を高めるよう求めた。

効果は限定的との見方が多い。GDPの半分を占める個人消費は低迷が続いており、新車販売台数は10月まで7カ月連続で前年同月を下回った。10月には消費者ローンの急増を抑えるための新たな制限措置が導入され、経済発展省は消費が一段と冷え込む可能性があると指摘する。

主要な輸出品の原油価格も軟調で、景気の重荷となっている。国際指標の北海ブレント先物価格は8月に1バレル60ドル前後で推移し、80ドルを超えた18年のピーク時から2割以上下げている。主要な貿易相手である中国や欧州の経済減速も今後、ロシアに波及しかねない。

世界銀行は10月、ロシアの19年の年間GDP成長率の予想を1.2%から1%に引き下げた。下方修正は19年に入って4度目で、国際通貨基金(IMF)や欧州復興開発銀行(EBRD)も相次ぎ下方修正した。

危機感を強めたメドベージェフ首相は10月、投資促進策を12月中旬までに提出するよう関係省庁に指示した。大型投資への優遇策などが浮上している。大手銀アルファバンクのチーフエコノミスト、ナタリア・オルロワ氏は、経済の国家管理や資源輸出への依存といった構造的な問題にメスを入れないかぎり、成長率の押し上げは難しいと指摘している。

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