セイコーエプソンや三井化学、住友商事など9社は14日、東京大学発スタートアップ、エレファンテック(東京・中央)に計18億円出資したと発表した。同社は印刷技術を応用し、プリント基板に金属を吹き付けて配線する独自技術を持つ。今回得た資金でスマートフォンなどに使われる「フレキシブル基板(FPC)」の量産体制を築く。
同社は三井化学の名古屋市内の工場を間借りして、月最大5万平方メートルのFPC生産体制を整える。2020年9月の稼働を目指す。年40億円程度の売り上げを見込む。
FPCは曲がる性質を持つ樹脂フィルムからつくるプリント基板。スマホやカメラなどに使われており、世界の市場規模は1兆4000億円に及ぶ。今後も市場は拡大するとみられる。9社は成長性が高いとみて出資を決めた。
今のプリント基板は、いったん基板全体に銅を塗りつけ、薬品で余分な銅を溶かして、配線部分を残す製法が主流だが、工程が多く、銅の廃棄量や排水量が多いのが課題だった。
これに対し同社は、紙にインクを吹き付けて印刷するインクジェットプリンターの技術を応用。工程や銅の使用量を大幅に減らせるため、生産コストを半分から3分の1に抑えられるという。
エレファンテックは自動車の配線にも同じ製法を応用できるとみている。現状は大量の配線コードを人が手で取り付けているが、部品に直接配線を印刷することで代替できるとして、複数の車載部品メーカーと共同開発を進めている。