富士フイルム、遺伝子治療受託設備に130億円投資

富士フイルムは14日、バイオ医薬品を開発・製造受託するバイオCDMO事業で、生産拠点に約130億円投資すると発表した。子会社の米テキサス州の拠点で開発棟や生産設備を増強し、2021年春以降に稼働する。遺伝子を入れた細胞を体内に投与する病気の治療法である、遺伝子治療薬の研究や開発が広がっていることを受け、製造受託できる案件を3倍程度まで増やす計画だ。
130億円の投資のうち、細胞を育てる条件などを顧客に提案するためのプロセス開発と呼ぶ分野で新棟を建設するのに約65億円を使う。残りは細胞の生産設備である大型のタンク8基やクリーンルームの設備に充てる。19年12月に着工し、生産設備は21年春に、プロセス開発の新棟は21年秋に稼働する予定。
富士フイルムが開発・製造受託を手掛ける遺伝子治療では、無害化したウイルスなどに遺伝子を載せて細胞まで運び、患部で働かせる。遺伝子の異常が原因となる先天性疾患などの治療に役立つと期待されている。国内外で承認される遺伝治療薬も増えており、まずはベンチャー企業などの臨床試験の需要を取り込みたい考えだ。
富士フイルムのバイオCDMO事業では19年に米バイオ医薬品大手バイオジェンの製造子会社を買収し、大型の生産設備をそろえた。22年3月期に売上高1000億円を目指している。
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