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「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)とLINEが経営統合に向けて最終調整に入った。両社は14日、「検討しているのは事実」とのコメントを発表。同日の東京株式市場でそろって株価が急騰した。統合による市場シェアの拡大やネットビジネスの融合への期待から買いが集まった。一方で、電子商取引(EC)や電子決済で競合する楽天は大幅安。メルカリの株価も一時3%安となるなど関連銘柄で明暗が分かれた。
14日はZHD株が買い気配で始まり、一時前日比20%高の459円を付けた。LINE株も買い気配で始まり、ストップ高水準である15%高の5290円まで気配値を切り上げている。いちよしアセットマネジメントの秋野充成氏は「これまで両社は自らの決済サービスの利用者を増やそうとキャンペーンなどにコストをかけてきたが、その負担を減らせる」と期待する。ZHDの株式を4割超保有するソフトバンクも一時3%上昇した。「LINEやZHD、(ソフトバンクの親会社である)ソフトバンクグループにはヘッジファンドから買い注文が殺到している」(外資系証券)との声が聞かれた。韓国市場では、LINEの親会社のネイバーが一時12%上げた。
物色の矛先はEC分野でヤフーと資本関係などがある銘柄にも広がった。広告事業などで提携するバリューコマースは一時13%上昇。傘下で電子書籍を展開するイーブックイニシアティブジャパンや通販事業で提携関係にあるアスクルは、それぞれ12%高、7%高となった。
一方、競合他社の統合でECサービスやスマートフォン(スマホ)決済事業の先行き不透明感が強まり、「ヤフー経済圏」と競合関係にある銘柄には売りが広がった。楽天株は一時6%安、マザーズ市場でもフリーマーケットアプリ大手のメルカリ株が3%安となった。
ZHDとLINEの統合はEC分野にとどまらず、デジタル技術を使った金融分野にも波及するとの期待も高まっている。LINEと証券会社を設立する野村ホールディングスは1%上昇し、ひそかに年初来高値を更新した。
もっとも、具体的な相乗効果については慎重な見方もある。農林中金全共連アセットマネジメントの山本健豪氏は「売上高が簡単に伸びるとは思わない。若年層に弱いヤフーがLINEと補完して相互送客につながるとの見方はあり得るが、実際に効果が出てくるかは疑問が残る」とみていた。(長谷川雄大)