ウクライナ疑惑めぐる公聴会 高官発言要旨

トランプ政権
2019/11/14 6:46
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 米議会下院情報特別委員会が13日に開いた公聴会に出席したジョージ・ケント国務次官補代理とウィリアム・テーラー駐ウクライナ代理大使の主な発言は以下の通り。

【ジョージ・ケント国務次官補代理】

過去5年間、我々はウクライナが自由のために戦い、ロシアの支配とソビエト機関のゆがんだ遺産から解放された国の復興を支援するために、大西洋を越えて一丸となって努力してきた。個人的な攻撃を含む激しい反発を予期せずに、米国の利益を積極的に追求する外交の舞台に足を踏み入れることはない。こうした攻撃はロシア人やその代理人、腐敗したウクライナ人からあった。

私的な目的を追求して腐敗したウクライナ人と手を組んだ人々を含む一部の米国人が、ウクライナでの米国の利益を前進させる献身的な公務員への攻撃を開始するのを見るのは予想外であり、最も残念なことだった。私の意見では、これらの攻撃は米国とウクライナの国益を損ない、重要な二国間関係を損なった。

■ウクライナは最前線

米国は、ウクライナにかかわる明確な国益を持つ。欧州の安全と繁栄は、米国の安全と繁栄に貢献した。私の外交官としての全キャリアにおける戦略的な目標である、真に完全で自由で平和な欧州は、現在ロシアが占領しているクリミアとドンバス地方を含む、完全で自由で平和なウクライナなしでは不可能だ。ウクライナは、2014年以降の同国東部へのロシアの侵攻や悪意ある広範な運動だけでなく、現在米国が直面しているより大きな地政学的な課題という意味でも、最前線にある。

14年にウクライナで盛り上がった「尊厳革命(Revolution of Dignity)」は、腐敗した親ロシアの指導者を追い出した。その後ロシアはウクライナに侵攻し、その領土の7%を占領した。当時ウクライナの国家機関は崩壊寸前だった。ウクライナの事実上の独立戦争に対して米国の支援は重要だった。最終的に、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)内で米国の完全な安全保障パートナーになる道を歩んでいる。

19年、ウクライナの市民は政治の聖火を、ソビエト時代ではなく独立後の同国で育った新世代に引き継いだ。41歳のゼレンスキー氏が大統領の座についた。その変化の中心にあるのは正義への渇望だ。正義なくして尊厳はない。正義をすべての人々に提供する司法部門がなければ、ウクライナ社会は不安定になる。

■他国に政治的調査を求めるべきではない

ウクライナの汚職に対する米国の取り組みは、ウクライナ政府が汚職を追跡し、犯罪行為を調査、訴追、そして判断できるような制度を構築することに焦点を当てている。原則として米国は他国に、政治的な調査や訴追に対応するように求めるべきではないと考えている。

ガス会社ブリスマの関与も、ウクライナで長期化する汚職問題の一端だ。14年以降、米国にとって最大の懸念だったのはブリスマの創業者であるミコラ・ズロチェフスキー氏だった。賄賂を受け取った検察官が調査を終結させたとの見方から、15年始めにズロチェフスキー氏の調査終了について問題提起していた。

その後、(バイデン前副大統領の息子である)ハンター・バイデン氏がブリスマの役員であることが発覚した。15年2月の副大統領の下の国家安全保障会議(NSC)の職員との電話会議で、ハンター氏の地位が利益相反となる可能性を表明した。はっきりさせておきたいのが、米当局はブリスマが調査されないように保護した事実はない。私は米当局と共にズロチェフスキー氏の調査再開を主張し、調査を終結させた検察官を拘束した。

■ジュリアーニ氏が関与

18年から19年にかけてトランプ米大統領の顧問弁護士であるジュリアーニ氏が、ウクライナの首都キエフの米国大使館の役人や元駐ウクライナ大使のマリー・ヨバノビッチ氏を中傷するキャンペーンを行う動きに気が付いた。

19年半ばに、こうしたキャンペーンが実を結んだので不安になった。(キャンペーンは)ヨバノビッチ氏の追放につながり、ウクライナのゼレンスキー大統領との関係を構築しようとする米当局の動きを妨げた。

8月中旬、ジュリアーニ氏の政治的動機による捜査を阻止しようとする努力が、ホワイトハウス会談へのゼレンスキー氏の意欲を利用し、米国とウクライナの関係に影響を及ぼしていることが明らかになった。

議員 トランプ米大統領は「バイデン前副大統領は同氏の息子が役員を務めるガス会社の調査を中断した」と主張しているが、その根拠はあるのか。

ケント氏 ない。

議員 7月25日のトランプ氏とゼレンスキー氏の電話会談の準備に関わったのか。

ケント氏 いいえ。

議員 ウクライナ政策を担う重要な役職に就いているにもかかわらず、関わっていないのか。

ケント氏 我々は海外の大使館で米国務省のもとで働いている。大統領の電話会談の準備は、NSCの職員の管轄だ。働いたことがない上での理解だが、同職員が大統領に書いたメモが外に出ることはないだろう。

議員 ハンター・バイデン氏がブリスマの役員に任命された時、あなたが懸念を表明したというのは正しいか。

ケント氏 正しい。利益相反の可能性があると報告したが、その後、前副大統領の事務所が何か行動を起こしたかは分からない。

【ウィリアム・テーラー駐ウクライナ代理大使】

ウクライナは米国と欧州の安全にとって重要な戦略的パートナーで、新たに攻撃的になっているロシアとの対立の最前線にある。米国の国内政治選挙を助けることを交換条件に軍事支援を止めることは「極めてばかげたこと」と考える。

今年6月17日、トランプ大統領の書簡を持って駐ウクライナ代理大使としてキエフに着任した。書簡にはゼレンスキー大統領への祝意とホワイトハウスでの会談への招待が書かれていた。

■外交に異例の「裏」ルート

着任後、米国の対ウクライナ政策の実行には混乱を招く異例の2つの配置があることに気がついた。1つは公式ルート、もう1つは議会に説明責任のない「裏」ルートで、国務省のボルカー元ウクライナ担当特別代表、ソンドランド駐EU大使、ペリー・エネルギー長官、マルバニー大統領首席補佐官代行、ジュリアーニ大統領顧問弁護士からなっていた。

6月後半までは、いずれのルートもホワイトハウスでの会談実現に向けゼレンスキー氏の訪米を推進しようとしていた。しかしボルカー氏やソンドランド氏が、会談予定を組む前にトランプ氏が「ゼレンスキーから聞きたがっている」と伝えてきた。私には何のことかわからなかった。6月27日の電話で、ソンドランド氏はゼレンスキー氏が「調査」を妨げないことをトランプ氏に明確にする必要があると言った。

6月28日のゼレンスキー氏との電話の前に、ボルカー氏は、7月2日にトロントで行われる(ボルカー氏との)1対1の面談で、首脳会談を行うために何をしなければならないかを明確にするつもりだと述べた。トランプ氏は法の支配、透明性に加え、特に「真相を探り出す」ために調査への協力を望んでいると伝えると言った。

7月中旬までには、ゼレンスキー氏が希望しているホワイトハウスでの会談は、(バイデン氏の息子が幹部を務めたウクライナのガス会社)ブリスマと、いわゆるウクライナによる16年の米大統領選への介入を調査をすることが条件であることがわかってきた。

■マルバニー氏が「軍事支援差し止め指示」

7月18日の国家安全保障会議(NSC)の会議で、米行政管理予算局(OMB)スタッフがウクライナへの軍事支援は止められていると言った。私やその他のスタッフは非常に驚いた。OMBスタッフはマルバニー氏からの指示だと言った。翌19日に、ヒル元上級部長とウクライナ担当ビンドマン陸軍中佐が軍事支援の差し止めはマルバニー氏によると確認した。

7月20日にソンドランド氏は私との電話で、同氏がゼレンスキー氏に対してトランプ氏と話すときには「調査」に関して「隅から隅まで調べる」という表現を使うように勧めたと話した。同じ日にゼレンスキー氏の安全保障補佐官と電話で話し、その補佐官はゼレンスキー氏は米国の再選活動の道具に使われたくないと思っていると主張した。

7月25日にトランプ、ゼレンスキー両氏の電話協議がようやく開かれた。電話協議の内容は、同28日のモリソンNSC前上級部長(ロシア・欧州担当)との電話で初めて聞いた。公式記録は9月25日の公表まで見ていなかった。

8月16日、ボルカー氏とのメールのやり取りで、ウクライナ政府が米政府に対し、ブリスマの違法行為に関する正式な調査要請を提出するよう求めたと知った。ウクライナの法律の違反に基づく調査を米政府が要請するのは不適当だと感じ、ボルカー氏に関わらないよう勧めた。

■調査が首脳会談と軍事支援の条件に

8月中旬までに、ウクライナへの軍事支援が理由もなく1カ月以上止められていたため、ウクライナを強く支持する長年の米国の政策が変わっているのかと恐れ始めた。私が知る限り、ウクライナ側は8月29日まで軍事支援の凍結を知らなかった。

9月1日の夕、モリソン氏からの電話で、ソンドランド氏がウクライナ政府高官に対し、ゼレンスキー氏がブリスマの調査を確約するまで軍事支援はしないと伝えたと聞いた。この時初めて、調査が首脳会談だけでなく軍事支援の条件にもなっていたことを知った。

同日、ソンドランド氏は電話で、トランプ氏はゼレンスキー氏がブリスマと16年米大統領選へのウクライナの介入疑惑の調査を発表することを望んでいると言った。

9月8日にソンドランド氏と電話で話した。ソンドランド氏は、ゼレンスキー氏らに対し「物事を公に片付ける」ことをしなければ「手詰まりになる」と伝えたと説明。「手詰まり」は軍事支援の凍結と理解した。ソンドランド氏は、ゼレンスキー氏が米テレビCNNのインタビューで(調査開始を)発表することに同意したと言った。

翌日、ソンドランド、ボルカー両氏に「政治活動を助けるために軍事支援を止めるのはばかげている」と伝えた。9月11日、軍事支援が再開されると聞いた。理由は聞かされなかった。

先週金曜日、あるスタッフから7月26日の出来事を聞いた。ソンドランド氏は(ウクライナの)レストランで、スタッフの前でトランプ氏に電話した。スタッフは、トランプ氏がソンドランド氏に「調査」について質問しているのが聞こえた。ソンドランド氏はトランプ氏に、ウクライナ側は行動を起こす準備ができていると伝えた。

電話の後、スタッフはソンドランド氏に、トランプ氏がウクライナについてどう考えているかと尋ねた。ソンドランド氏は、トランプ氏はバイデン氏の調査のことをもっと気にしていると答えた。

議員 ロシアが米国の対ウクライナ支援の程度を注視していると証言したが、なぜそれは重要なのか。

テーラー氏 米国が軍事支援を撤回したり凍結したりすれば、ウクライナだけでなく、弱みを探しているロシアへのメッセージになる。

法律顧問 (調査を軍事支援の条件にしているとの情報に)なぜ警戒感を持ったのか。

テーラー氏 戦争状態にあり、軍事支援や支持表明に頼っている国への軍事支援を目的遂行の手段にすることは、ホワイトハウスでの会談を条件にするよりさらに警戒すべきことだ。

議員 政敵の調査を軍事支援の条件にするのはよくあることか。

テーラー氏 ない。米国の外交政策を改善する問題は支援の条件にする。

議員 ゼレンスキー氏とトランプ氏の電話協議を聞いたか、マルバニー氏と話をしたか。

テーラー氏 していない。

議員 トランプ氏と会ったこともないのか。

テーラー氏 その通りだ。

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