「弾劾劇場」トランプ氏の命運左右 過去には明暗

2019/11/14 3:15
保存
共有
印刷
その他

ウォーターゲート疑惑を巡る公聴会はニクソン大統領の弾劾の機運を盛り上げた=AP

ウォーターゲート疑惑を巡る公聴会はニクソン大統領の弾劾の機運を盛り上げた=AP

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領の命運を左右する米議会の公聴会が13日始まった。過去にニクソン政権の疑惑を追及した公聴会は内情を知る政権関係者が証言に応じて世論を動かし、後のニクソン大統領の辞任につながる歴史的な舞台となった。不発に終われば野党・民主党も打撃を被るリスクを抱えており、2020年大統領選をにらんだ攻防が激しさを増す。

米大統領の弾劾調査を巡る公聴会はニクソン、クリントン両元大統領に次いで戦後3例目。大手テレビネットワークを通じて全米で生中継され、耳目を集める一大イベントだ。民主が前例としたいのはウォーターゲート疑惑を巡るニクソン氏のケースだ。公聴会は上院で1973年5月から半年にわたって51回、下院でも74年5月から7回開かれた。

ウォーターゲート疑惑を巡る公聴会(1973年8月)=AP

ウォーターゲート疑惑を巡る公聴会(1973年8月)=AP

この公聴会は午後8時からテレビ中継され、米国全世帯の8割以上が何らかの形で視聴したとされる。調査会社ギャロップによると、ニクソン氏の罷免を求める割合は公聴会が始まったころは19%だったが、公聴会の開催に伴って右肩上がりで高まり、辞任直前には57%に達した。民主党全国委員会のあった首都ワシントンのウォーターゲートビルへの侵入をニクソン氏も把握していたなどとしてホワイトハウス法律顧問らが疑惑の内幕を明かし、同氏への世論の批判を徐々に膨らませる役割を果たした。

民主は今回、同じような展開を期待する。公聴会で弾劾への賛成論を高め、現在は反対で足並みをそろえる共和からの支持獲得につなげるシナリオだ。米ABCテレビなどの世論調査によると、トランプ氏の弾劾訴追への賛成が49%、反対は47%と賛否が真っ二つに分かれている。ギャラップによると、民主支持者の87%が罷免に賛成する一方、共和支持者の92%が反対する。党派間の分断は鮮明だ。

ただ、ウォーターゲート事件当時はインターネットが普及しておらず、保守系のFOXニュースやSNS(交流サイト)も存在しない時代だった。トランプ氏は疑惑の払拭に向けてツイッターで支持層ら約6700万人ものフォロワーに自らの主張を直接訴えかけることができる。今回の「劇場型」の政治ショーがどこまで世論を動かすのかは見通せない。

クリントン大統領の不倫疑惑を巡る公聴会は世論喚起に失敗した=AP

クリントン大統領の不倫疑惑を巡る公聴会は世論喚起に失敗した=AP

逆に民主が避けたいのは98年のクリントン氏の不倫疑惑のケースだ。追及にあたった当時の野党・共和党は幅広い世論の支持を得られず、与党の民主からの弾劾への賛同も獲得できなかった。

今回の公聴会は20年大統領選でトランプ氏からホワイトハウス奪還をめざす民主にとっても賭けといえる。有力候補の1人、バイデン前副大統領への打撃が避けられないためだ。

トランプ氏がウクライナ政府に調査を持ちかけたバイデン氏を巡る疑惑では、同氏の息子ハンター氏が役員を務めていたウクライナのガス企業から多額の報酬を受け取っていた。この企業については国務省幹部が非公開証言で「怪しい組織」などと指摘し、13日の公聴会でも副大統領時代のバイデン氏との利益相反を懸念する発言をした。疑惑が公開の場で蒸し返されることで、大統領選の指名候補争いへの影響は避けられない。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]