中国、ギリシャ最大港に720億円 一帯一路で攻勢
国有海運大手が「先兵」

習政権
アジアBiz
2019/11/13 18:09
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【大連=渡辺伸】中国がギリシャ最大の港、ピレウス港への関与を強めている。中国国有海運最大手、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)は11日、同港の施設拡充に6億ユーロ(約720億円)を追加投資することでギリシャ政府と合意した。同社は既に同港の運営会社の株式51%を取得ずみ。中国は広域経済圏構想「一帯一路」に沿って海外で港湾の買収を進めており、中遠海運はその「先兵」となっている。

11日、ピレウス港を視察する習近平国家主席(右)とギリシャのミツォタキス首相=ロイター

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は11日、ギリシャのアテネでミツォタキス首相と会談。ギリシャ本土と離島を結ぶ電力網整備計画など計16件の合意文書に署名した。アテネ郊外にあるピレウス港の投資もその1つ。中遠海運は港の拡張や修理などに6億ユーロを投資する。同港には3つの埠頭があり、4つ目の埠頭を新設する検討に入った。

欧州はもちろん、ロシア、北アフリカへも展開できる地中海の要衝ピレウス港に対し、中国は段階的に関与を深めてきた。中遠海運の前身となる会社が2008年、港の一部埠頭の運営権を取得した。その後、約3億ユーロを投じて第3埠頭の新設などを推し進めた。

中遠海運は16年には、2億8050万ユーロを投じてピレウス港の運営会社ピレウス・ポート・オーソリティー(PPA)の株式51%を取得。中長期的に出資比率を67%に高めることでもギリシャ側と合意した。一連の投資に伴い、中国関連を中心に同港のコンテナ取扱量は急増した。

習政権は13年から「一帯一路」を提唱しはじめた。ピレウス港は、一帯一路の一環として中国からインド洋、中東を経て欧州までつなぐ「海上シルクロード」の成功例と位置づけられている。

海外の港湾の整備や施設買収の「先兵」が中遠海運だ。16年に中国の海運1、2位の国有企業が合併して誕生。コンテナ船の輸送量規模で世界3位で、中国政府を後ろ盾とする莫大な資金力が強みだ。既にオランダのロッテルダムやアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビなどで埠頭の利用権を取得。運営する埠頭は世界約50カ所に及ぶ。19年5月にも2億2500万ドル(約250億円)を投じ、ペルーのチャンカイ港の埠頭を運営する会社に60%を出資した。

他の国有海運大手も17年にスリランカ、18年にはオーストラリアやブラジルの港に相次ぎ出資した。こうした中国企業による海外港湾への攻勢に、米政府は「軍事転用されかねない」と懸念を強めている。

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