トランプ氏、追加減税に意欲 大統領選へ民主に対抗

2019/11/13 15:00
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トランプ米大統領は企業経営者らを前に追加減税を検討すると語った(12日、米ニューヨーク)=AP

トランプ米大統領は企業経営者らを前に追加減税を検討すると語った(12日、米ニューヨーク)=AP

【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は12日の演説で「経済再生の中核は減税だ。税率はさらに下げられる」と述べ、2020年大統領選に向けて「税制改革第2弾」を検討する考えを表明した。野党・民主党のウォーレン上院議員ら有力候補は格差是正のため富裕層への大幅増税を掲げており、政策論争の焦点に税制改革が浮上してきた。

ニューヨークでの「貿易と経済政策」と題する演説は大統領選まで1年を切るなか、企業経営者や投資家の支持を集める狙いがあった。中国との貿易交渉については「第1段階の合意が間近だ」と述べる一方、「取引できなければ大幅に関税を上げる」と中国に引き続き圧力をかけた。9月に妥結した日米貿易交渉は「すばらしい取引だったが、これも第1段階だ」と語り、サービス分野など追加交渉の可能性を強調した。

トランプ氏は「減税や規制緩和で経済を刺激したい。経済再生の中核は過去最大の減税で、法人税率もさらに下げられる」と強調した。

ホワイトハウスの経済政策の司令塔である国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は演説後、「減税第2弾の検討に着手するよう大統領の指示を受けた」と表明した。トランプ政権は17年末に10年で1.5兆ドル(約164兆円)の大型減税を決めたばかりだが、20年の選挙に向けて中間層の所得税率引き下げなどを検討する。

トランプ政権が減税構想を早々に表明するのは、バイデン前副大統領らが法人税率を35%に戻すよう提案するなど、民主党の対抗馬がそろって増税案を掲げるためだ。とりわけ有力候補のウォーレン氏は公的保険に10年で20兆ドルを投じる代わりに、財源として企業と富裕層に6兆ドルという過去に例のない巨額増税を検討する。

トランプ氏は演説で「16年の選挙以降、株価は50%以上も上昇し、雇用は700万人近く増えた」と経済政策の成果を強調した。ただ、所得の伸びは富裕層に偏り、経済格差への不満は低中所得層に根深い。ウォーレン氏の富裕層増税は6割の有権者が支持しているとの調査もあり、現政権の危機意識は強い。

民主党の政策に関してトランプ氏は「急進的な社会主義政策は米経済を破壊し、中間層を破滅させ、国家を完全に破綻させる」と強く批判。「米経済の最大のリスクは次の選挙だ」とまで主張してみせた。ウォーレン氏らはアマゾン・ドット・コムなど大手IT企業の分割案まで掲げており、企業家や投資家の不安も強い。

もっとも、トランプ氏の誤算は減税による成長率の底上げが公約通りには進んでいないことだ。3%超の経済成長率を目指すが、19年の成長率は2%強にとどまりそうだ。12日の会合参加者からも「貿易戦争の不透明感が強く、企業投資は横ばいだ」との批判が出た。

16年の「トランプ旋風」も金融危機で経済的な痛手を負った低中所得層の不満が根底にあった。トランプ氏と民主党急進左派の争いはともにポピュリズム(大衆迎合)の色彩が濃い。ウォーレン氏らも通商政策ではトランプ氏と同じく保護貿易主義を標榜しており、米国の内向き志向が変わることは期待できない。

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