英総選挙まで1カ月 ブレグジット党、離脱票分裂回避
与党選挙区で対抗馬見送り、政権には追い風

英EU離脱
ヨーロッパ
2019/11/12 20:17
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【ロンドン=中島裕介】欧州連合(EU)離脱の是非が争点になる12月12日投開票の英国の総選挙まで1カ月を切った。直近の情勢ではジョンソン首相率いる与党・保守党が、EUと新離脱協定案で合意した実績を武器に優位に立つ。強硬離脱を訴える野党ブレグジット党も前回選で保守党が勝った選挙区に候補者を立てない方針を決めた。半数近くの選挙区で離脱票の分裂が回避される格好で、保守党には追い風が加わった。

強硬離脱を唱える野党ブレグジット党のファラージ党首は離脱の実現を優先して選挙戦を展開する方針だ=ロイター

ブレグジット党のファラージ党首は11日の演説で、下院定数650のうち「317選挙区で候補者を立てない」と語った。EUとの経済関係の完全な分離を主張するブレグジット党は、新離脱案では条件が不十分だとして、英全土で対立候補を立てる意向を示していた。だが離脱実現を優先するために方針転換した。

ファラージ氏は演説で、ジョンソン政権がEUから遠ざかる通商協定を結ぶ方針を示した点を方針転換の理由に挙げた。選挙でどの党も過半数に届かず、野党が結集して2度目の国民投票となれば、「民主主義の信頼を損ねる」とも訴えた。

ジョンソン氏率いる保守党の議席数はEU離脱を巡る混乱で離党者などが出て、298まで落ちている。これを議長などを除いた実質過半数の320議席以上に伸ばすのが政権の目標だ。過半数を取れば議会で新離脱案を承認でき、2020年1月末の離脱が確実になる。

ブレグジット党はメイ前政権が迷走する中で行われた19年5月の欧州議会選で、30%超の得票率で英国での第1党に躍進した。英議会下院にはまだ議席はないものの、再び勢いづけば離脱支持層の票が割れる可能性があった。今回の同党の判断により保守党地盤での離脱票の分裂は回避されるため、保守党には一定の追い風になる。

一方で英BBCによると、保守党のクレバリー幹事長は「離脱支持派の票が割れる危険はまだ残る」と語った。保守党が単独過半数に達するには、労働党など野党の地盤の切り崩しが欠かせない。ブレグジット党は野党議員が現職の選挙区にはなお候補者を立てる。こうした選挙区で離脱票が割れて、保守党の議席が伸び悩む可能性はある。

6日の下院解散以降の各種世論調査によれば、今のところ保守党はそれまでの優勢を維持している。保守党の政党支持率は40%前後で、30%弱の最大野党・労働党を10ポイント以上リードしている状況だ。EU残留と離脱を問う調査になると、「残留」がわずかに上回るケースが多い。ただ労働党は党内が残留派と離脱派で割れている。EU残留を訴える自民党などと選挙協力を結ぶ兆しもない。現段階では残留支持票は分散する公算が大きい。

だが前回の17年の選挙では選挙戦序盤に20ポイント以上リードしていた保守党が、急進的な再分配政策などで支持を広げた労働党に猛追され、過半数割れを喫した経緯がある。国民的人気を誇るジョンソン氏が率いるとはいえ、予断は許さない。

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