北陸3県の地銀4~9月決算 実質業務純益は全行で増

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2019/11/12 19:39
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北陸3県に本店を置く地方銀行の2019年4~9月期決算が12日、出そろった。本業のもうけを示す単体の実質業務純益は6行全てで増加した。ただ、増益のけん引役は有価証券の利息配当金や外国債。貸出金利回りは全行で減少が続き、厳しい経営環境に変わりはない。トップからは米中貿易摩擦の融資先への影響を懸念する声も広がる。

決算会見する福邦銀行の渡辺健雄頭取(12日、福井市内)

「増収増益だが債券関係益が大きく、本業でないという言い方もできる。人口減少による成長率鈍化や超低金利など、厳しい環境は変わりない」。12日の決算会見に臨んだ福邦銀行の渡辺健雄頭取は慎重な姿勢を崩さなかった。

同行の19年4~9月期の実質業務純益は前年同期比6.5倍の3億円、連結純利益は前年同期比23%増の6億円と大きく伸ばしたが、多くは債券の売却益だった。債券関係損益を差し引いたコア業務純益は前年同期の半分ほどにとどまる。

実質業務純益を同じく伸ばした富山銀行富山第一銀行でも、主因は有価証券の利息配当金の増加や、前期に計上した米国債の売却損がなくなったことだ。収益源である貸出金から得られる利息収入は減少傾向に歯止めがかからない。中間期の貸出金利回りは6行そろって前年実績を下回った。

景気の先行きを警戒する声も相次ぐ。富山銀行の斉藤栄吉頭取は「米中貿易摩擦を背景に当行の営業エリアでも景気の減速を実感している」として一般貸倒引当金の繰入額を1億円増やした。北陸銀行も「顧客で少し苦しくなったところがいくつかでてきた」として一般貸倒引当金として10億円計上した。

北陸財務局は10月、北陸3県の景気の総括判断を「拡大に向けたテンポが緩やかになっている」とし、9月の「緩やかに拡大しつつある」から引き下げていた。総括判断の下方修正は6年9カ月ぶり。北陸銀の庵栄伸頭取は「以前のような右肩上がりは再考するタイミング」と指摘する。

台風19号の影響で約2週間にわたり東京―金沢間で運休が続いた北陸新幹線も影を落とす。北国銀行の安宅建樹頭取は「新幹線が動いたにもかかわらず、観光客の戻りが鈍い。台風被害を受けて旅行が自粛的になっているほか、臨時列車が出ておらず切符が取りにくいことが影響しているようだ」と厳しい表情を見せた。

一方、投資信託の販売やコンサルティングで受け取る手数料収入は堅調で、役務取引等利益は北国銀を除く5行で増えた。地方銀行を取り巻く経営環境が改善する兆しが見えない中、資産運用やコンサル業務で利息収入の減少を補おうとする姿勢は一層強まりそうだ。

(伊地知将史、毛芝雄己、鈴木卓郎)

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