アシアナ航空、韓国現代産業開発が買収へ
韓国航空の再編必至、日韓対立・ウォン安など

日韓対立
朝鮮半島
アジアBiz
2019/11/12 20:30
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アシアナ航空はHDC現代産業開発傘下で再建を目指す

アシアナ航空はHDC現代産業開発傘下で再建を目指す

【ソウル=細川幸太郎】経営不振に陥っている韓国航空2位のアシアナ航空を、韓国建設大手のHDC現代産業開発が2000億円超で買収する見通しとなった。韓国航空会社で業績が悪いのはアシアナだけではない。国内景気の低迷とウォン安による燃料費負担増、さらに日韓対立による日韓線の不振という三重苦にあえぐ。今後は新規参入も控えており、航空会社の再編は必至の状況だ。

アシアナ株を31%保有する錦湖(クムホ)産業が12日、現代産業開発と証券大手の未来アセット大宇が組む陣営に優先交渉権を付与すると発表した。年内をメドに本契約を結ぶ。現代産業開発は錦湖産業が持つアシアナ株を買い取った後、新株発行を引き受け、追加出資してアシアナ株の過半を取得する見通しだ。

入札には、格安航空会社(LCC)済州(チェジュ)航空を傘下に持つ愛敬(エギョン)グループなど計3陣営が応札していた。現代産業開発と未来アセット大宇は総額2兆4000億ウォン(約2250億円)規模の買収金額を提示し、他の2陣営を圧倒した。

「新型航空機の導入とサービス改良で投資を続け、アシアナ航空が競争力を持てるように支援を惜しまない」。現代産業開発グループの鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長は12日午後、ソウル市内の本社で記者会見を開いた。

建設会社の現代産業開発は自社で高級ホテルを運営するほか免税店事業も手掛けている。アシアナ買収によって機内での免税品販売や、航空チケットと宿泊を組み合わせた旅行商品の開発などで相乗効果を見込む。鄭会長は「機内免税品販売では明らかに統合効果が出る。買収後にさらに踏み込んで協業を検討する」と話した。

売り手側の中堅財閥、錦湖アシアナグループは売上高の6割を占める中核企業を失い事実上の解体となる。経営不振だったアシアナ航空を巡る不適切会計の発覚によって同社の売却を余儀なくされた経緯がある。

アシアナが身売りに追い込まれた背景には、韓国の航空産業が過当競争に陥っている事情がある。アシアナは大韓航空に次ぐ国内2位の航空会社だが、その他にLCCが6社もあり、国内線をはじめ日本や中国との近距離国際線で激しい価格競争を繰り広げている。

プレーヤーの数が多いだけでなく、近年の韓国国内の景気低迷によって韓国人の旅客数が減少する。前年に比べドルに対して1割程度ウォン安に振れており、燃料負担や航空機リース料の増加によって収益が圧迫されている。韓国メディアによると、大韓航空とアシアナ航空、LCC6社の計8社すべてが4~6月期は営業赤字に陥ったという。

さらに夏休みシーズンで稼ぎ時と期待していた7~9月期は、日本政府の輸出管理の厳格化に端を発した日韓対立による日韓線の低迷が直撃した。日本政府観光局によると、8月と9月の訪日韓国人客は前年同月比でそれぞれ48%、58%減となった。大韓航空とアシアナは売上高に占める日本便の比率は1割程度、近距離路線が主流のLCCは3~4割を占める。

国土面積が日本の3割弱の韓国では国内移動は鉄道やバスが主流で、国内線はソウルと釜山、済州島を結ぶ路線にほぼ限られる。そのためLCCは日本や中国、台湾を結ぶ国際線を拡大してきた。近年は日韓の旅行客の往来が盛んで、日本便が特にLCCの収益の柱となっていた。

旅客減で結果的に韓国から東京や大阪、福岡などを結ぶ便が往復1万円といった安値販売をせざるを得ず、航空各社の収益が悪化した。各社の7~9月期の決算は未発表だが、アナリスト予想では大韓航空も前年同期比2割超の減益となり、LCCの済州航空とジンエアなどは赤字に転落する見通しだ。

さらに政府の規制緩和によって、地方自治体や地方企業が出資するフライ江原(カンウォン)とエアプレミア、エアロK航空のLCC3社が新たに参入する計画を表明しており、過当競争が解消されるどころか、激化しそうな勢いだ。10月には有力紙が中堅LCCのイースター航空が身売りされると報じるなど、韓国の航空再編の機運は高まっている。

●アシアナ航空 大韓航空に次ぐ韓国2位の航空会社で、1988年2月にソウル航空の名称で設立された。世界24カ国、74都市に就航する。傘下にエアソウルとエアプサンという格安航空会社(LCC)2社も抱えており、日本の各都市への路線も多い。2018年12月期の連結売上高は7兆1833億ウォン(約6800億円)、連結最終損益は1958億ウォンの赤字だった。従業員数は約9000人。

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