東北で災害ごみ処理や罹災証明書発行に遅れ
台風19号から1カ月

台風19号
北海道・東北
2019/11/12 18:31
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台風19号が東北地方を襲ってから1カ月がたった。焼却場の一つが浸水した福島県郡山市や宮城県内で最も被害の大きい丸森町では災害ごみの処理が追いついていない。福島県内では自治体から罹災(りさい)証明が受けられず、公的支援を受けられないままの被災者も多い。復旧には想像以上の時間を要しそうだ。

丸森町役場の目の前にある町民グラウンドには分別された災害ごみが積み上がっている(8日、宮城県丸森町)

郡山市では2つの焼却場のうち、富久山クリーンセンターが阿武隈川やその支流の氾濫で水没した。焼却、電気系統など主要設備が破損して使えず、ごみ処理能力は半減している。市は修理や設備の交換を急いでいるが仮の復旧は早くても12月下旬の見通しだ。

郡山市内では約4400世帯が床上浸水した。阿武隈川東岸の浸水の激しかった地域には今も道ばたや河川敷に家庭ごみと災害ごみの山が残る。11月上旬に部屋の片付けをしていた会社員は「出す場所がないので浸水して使えなくなった家具が庭に残っている。家を修繕するとさらに廃棄物がでるかもしれない」と苦渋の表情をみせる。

町の中の災害ごみが減るのに合わせて運動公園などに山積みの災害ごみが積み上がっている。これらの処理には数年かかるとの見方もでている。富久山クリーンセンターは2018年に26億円で長寿命化工事を終えたばかり。担当者は「再び設備の入れ替えが必要になった」と落胆する。

宮城県丸森町では5日時点で1万9000トンもの災害ごみがでると推計している。年間出るごみの6.5倍程度の量だ。現在は町内5カ所に仮置き場を設置しているが、道路が寸断され立ち入れない地域もあり、今後も増える可能性がある。

丸森町から出るごみは従来、角田市と蔵王町の施設へ搬送していたが処理が追いつかない。現在他の自治体へ支援を要請しており、仙台市が20年3月までに3000トンの受け入れを表明した。

一方、水稲の収穫後に出る稲わらが浸水で農地や道路に広がったままの状態が見られる。撤去については自治体が集積所を設置し、費用については農林水産省と環境省が合同で支援することを打ち出しているが「そこまで手が回る状況ではない」(丸森町)という。

広範な地域で被害を受けた福島県では罹災証明書の発行が遅れている。罹災証明書は仮設住宅の入居や住宅の補修への支援金、税金の減免など生活再建には欠かせない。発行を求める被災者が確認されたのは全59市町村の中で40以上に及んだ。

7日午後時点で県内での申請は2万7008件に上ったが、交付されたのは3706件と13%にとどまる。とりわけ被害が大きかった郡山市は7094件の申請に対し発行は167件と約2%、いわき市も12549件の申請に676件の発行で約5%とわずかだ。

罹災証明書は自治体が住宅の被害の程度を調査し発行するが、職員の作業が追いついていない。県によると、避難所の管理や増え続ける災害ごみへの対応、10日に投開票があった県議選の事務関連で、証明書発行に関する県内自治体の職員の確保が難しかったという。

県は被災した市町村に応援職員を派遣するなどしているが、対応は十分ではないのが実情だ。県の災害対策部門の担当職員は「被害の詳細はまだまだ把握できていない。被災者の生活再建へできるだけの支援ができるよう歯を食いしばるしかない」と話している。

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