北海道の日高線廃線へ、沿線7町の現実解

北海道・東北
2019/11/12 18:40
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北海道様似町など7町の町長らは12日、新ひだか町公民館で臨時町長会議を開き、2015年の高波被害から運休が続いていた日高線の鵡川―様似間(116キロメートル)のバス路線転換を容認する方針を決めた。多数決による決着は、JR北海道が抱える他の赤字路線の存廃論議にも影響を与えそうだ。

JR北海道が「単独では維持困難」とする路線のうち、利用者が少なくJR北がバス転換を目指す路線は5区間。日高線が廃線になれば、残るは留萌線の深川―留萌間と根室線の新得―富良野間の2つになる。

この日の会議は2時間以上に及んだ。9月の前回会議では5町だったバス転換を認める自治体に日高町が加わり、6カ所になったが、全会一致には至らなかった。最後まで反対を貫いた浦河町の池田拓町長は「非常に残念」と話した。

「バス路線を希望する自治体が9月の会議から1つ増えて6町になったが、意思の再確認の意味で多数決を採った」。会議後に開いた7首長やJR北海道の綿貫泰之常務らが出席して開いた記者会見で、日高町村会の坂下一幸会長(様似町長)はこう切り出した。

沿線人口減少の波に歯止めがかからない現状を鑑みれば、バス転換への容認は現実を直視した判断といえる。坂下会長は「(被災した)鉄路の復旧に相当な年数がかかる」と指摘した上で、運休を招いた背景を「自分を含めて(日高線に)乗らなかったからだ」と率直に認めた。新冠町の鳴海修司町長も「復旧に莫大な費用がかかる」と現実的な判断を強調した。

沿線自治体の首長による多数決という今回の幕引きは、JR北海道を巡る廃線論議を進める上での現実解を導き出したといえる。複数の首長が参加する会議で全会一致を目指せば、1人でも反対すれば議論は前に進まなくなるからだ。とはいえ、それほど悠長に構えている余裕もない。

北海道では鉄路の廃線が相次いでいる

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夕張支線は今年3月末に廃線になった。20年5月には札沼線北海道医療大学―新十津川間が営業を終える。札沼線のケースでは曲折を経て沿線4町が最終的に一致して廃線を決めた。

日高線の沿線7町はバス路線転換に向けた最終合意を目指してJR北海道と個別に交渉に入る。自治体ごとの協議は2020年3月末をメドに合意を目指すという。

7町長会議の決定に対し、JR北海道の綿貫常務は「被災から4年半以上経過している中で、苦渋の決断をして頂いた」と述べた。JR北海道の厳しい経営環境を理解し、決断した7町のためにも後ろ向きの経費削減だけでなく、力強く前に進む推進力のある経営改善に道筋をつける必要がありそうだ。

(高橋徹)

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