台風被災のピアノ再生へ 福島の調律師に依頼相次ぐ

台風19号
2019/11/12 11:48
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思い出の詰まったピアノを再生してほしい――。福島県いわき市に住む調律師の遠藤洋さん(60)の元に、台風19号の被災者からピアノ修理の依頼が相次いでいる。遠藤さんは東日本大震災の津波で海水に漬かり、専門家も「修理は不可能」とさじを投げたグランドピアノを修復したことで知られる。「音楽の力で被災者に元気を届けたい」と意気込む。

台風19号の影響で浸水被害を受けたピアノに触る鈴木智子さんと子どもたち。奥は調律師の遠藤洋さん(10月、福島県いわき市)=共同

川の氾濫などで8人が死亡した同市で自宅が床上浸水した主婦、鈴木智子さん(39)は水が引いた後の部屋で、泥水をかぶり横倒しになったアップライトピアノを見つけ、涙があふれた。5歳の時から愛用してきたが、鍵盤には泥が入って音が全く出ない状態だった。「もう直らないな」と諦めかけていた時、遠藤さんの存在を報道で知っていた母親(68)が連絡先を探し当てた。

鈴木さんのピアノの状態をチェックした遠藤さんの第一声は「良いピアノですね。修理は可能です」。鈴木さんは「夜眠れないぐらいうれしかった」と笑みを浮かべた。

遠藤さんの自宅の倉庫では、19号で水没したピアノを救ってほしいと依頼を受けた十数台が修理を待っている。ピアノはそれぞれ損傷の程度が異なり、解体して部品を取り換えるなど作業を行う。

遠藤さんは「調律師としての使命感と、皆さんに喜んでもらいたい気持ちだ。ピアノにはその人が歩んできた人生の思い出が詰まっている。以前と同じ音には戻らないかもしれないが、できることをしたい」と表情を引き締めた。

〔共同〕

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