「トランプ氏関与」か ウクライナ疑惑、13日から公聴会

2019/11/11 23:05
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【ワシントン=中村亮】ウクライナを巡るトランプ米大統領の不正疑惑についての米議会公聴会が13日に始まる。証人の外交官らはトランプ政権が2020年の大統領選で優位に立つためウクライナ政府に裏工作を仕掛けていたと証言する見通しだ。野党・民主党はトランプ氏が裏工作に関与したことを明確に示す証言を引き出したい考え。これまで非公開だった証言を全米で生中継し、弾劾訴追に向けた世論を喚起する狙いもある。

トランプ氏は疑惑を否定している=ロイター

民主党、弾劾へ世論喚起

下院情報特別委員会は13日、ウィリアム・テーラー駐ウクライナ代理大使とジョージ・ケント国務次官補代理が出席する公聴会を開く。ウクライナ疑惑をめぐる公聴会は今回が初めて。15日には元駐ウクライナ大使のマリー・ヨバノビッチ氏の公聴会も開く。

民主党は公聴会の内容を踏まえ、トランプ氏の弾劾訴追の是非を判断する。下院でトランプ氏が弾劾訴追されれば大統領として歴代3人目。上院の弾劾裁判で議員の3分の2が賛成すればトランプ氏は罷免される。

これまでの民主の調査ではトランプ氏本人が不正に関与した証拠は明らかになっていない。トランプ氏の具体的な不正行為が見つからず弾劾に踏み切っても上院の過半を占める与党・共和党から造反を得るには力不足だ。民主党は公聴会でトランプ氏の関与を示す証言を引き出したい考えだ。

公聴会の開始で弾劾調査は「劇場型」に移る。政府高官が全米生中継でトランプ氏や側近の不正疑惑を語り、トランプ氏の弾劾訴追を支持する世論が広がるかが焦点になる。1970年代前半のウォーターゲート事件ではホワイトハウス法律顧問の公開証言をきっかけにニクソン元大統領の弾劾論が強まった。

「支援の見返りにバイデン氏調査」

トランプ氏は20年の大統領選で民主の候補指名を狙うバイデン前副大統領の不正調査をウクライナ政府に働きかけた。テーラー氏は公聴会で、米政権が秘密裏に軍事支援と首脳会談開催の見返りとして不正調査を迫ったと証言する見通し。調査要求はバイデン氏に不正疑惑を浮上させて人気を下げることを狙った「政治活動」との認識も示す。トランプ氏が外交政策を政治的利益のために悪用したとすれば職権乱用の疑いが深まる。

トランプ氏は不正疑惑を「でっちあげだ」と訴え繰り返し否定する。バイデン氏の息子ハンター氏がウクライナのガス会社から不正な利益を得た疑いがあるとも主張している。調査要請はウクライナのゼレンスキー政権が推進する腐敗撲滅に資すると訴える。軍事支援や首脳会談開催を取引材料にした「見返り要求」もなかったと主張する。

ゼレンスキー大統領は裏ルートからの働きかけに関し「ウクライナが米国の再選活動の駒に使われる」と語った。バイデン氏の不正調査に着手すればトランプ氏の大統領再選を支援したとみなされると懸念する。米連邦法は外国勢力に対する選挙支援要請を禁じる。トランプ氏による調査要請が違法との見方が強まれば弾劾の根拠になる。

「裏の外交ルートが圧力」

テーラー氏はすでに非公開で議会証言に応じており、その内容が明らかになっている。公聴会ではこれに沿い、改めて証言するとみられる。

テーラー氏はウクライナ政府への働きかけを担ったグループを「裏の外交ルート」と呼ぶ。同氏によると、そのルートの中心にはマルバニー大統領首席補佐官代行とジュリアーニ大統領顧問弁護士の名前があがる。

マルバニー氏は7月中旬にウクライナへの軍事支援停止を突然決めた。国務省や国防総省、米中央情報局(CIA)が軍事支援をそろって支持する中で同氏だけが支援停止に固執したという。

マルバニー氏がトランプ氏の意向を踏まえ、支援停止でウクライナ政府に圧力をかけ、バイデン氏の不正調査の確約を迫った疑いが浮上する。

一方、ジュリアーニ氏は私人にもかかわらずウクライナ政策に深く関わったことがわかっている。米外交官の仲介を受けて同国政府高官に何度も接触した。ゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)米大使らと連携し、不正調査に着手する際にウクライナ政府が発表する文書を作成した。トランプ氏に批判的な米CNNテレビのインタビューでゼレンスキー氏が調査開始を発表する段取りをつけたとみられている。

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