札幌駅前に50階規模の複合ビル、新幹線&五輪へGO

北海道地震
2019/11/11 18:56
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JR札幌駅前に2棟の大型複合ビルが誕生する。11日、駅南東側に隣接する「北5西1、西2」街区地権者のJR北海道と札幌市を核とする準備組合が発足した。2029年秋の完成を目指す新ビルは市内で最高の50階級を想定しており、ホテルやオフィス、商業施設が入居する。30年度に予定される北海道新幹線の札幌延伸を見据え、札幌駅前が生まれ変わる。

組合は理事長を市が、副理事長をJR幹部が務め、理事にはJRグループの札幌駅総合開発、ジェイ・アール北海道バス、JR北海道ホテルズ(いずれも札幌市)が名を連ねた。22年度までに再開発の都市計画決定を受け、23年度に着工、29年秋の完成を目指す。

同日の記者会見でJR北海道の島田修社長は「再開発が進む渋谷のスクランブルスクエアが47階建て。札幌も同規模を目指したい」と首都圏の再開発に対抗意識を燃やした。札幌市の秋元克広市長も「2030年の冬季五輪を見据え、世界につながる札幌の新たな顔にする」と鼻息が荒い。

再開発するのは札幌駅前で平面駐車場として活用している市有地(北5西1)と、JR北海道が所有して商業施設「エスタ」が入居する土地(北5西2)の計2.2ヘクタール。南北に抜けている西2丁目通をまたぐ構造で一体開発する。会見では明らかにしなかったが、少なく見積もっても総事業費が数百億円規模に達する一大プロジェクトだ。

西1街区側に現在のJRタワー(38階建て)より高い高層ビルを設け、上層に五つ星級の高級ホテルやオフィス、商業施設を設置。西2街区は既存の大丸札幌店や「札幌ステラプレイス」と同程度に抑えて景観に配慮する。両街区の1階部分にはバスターミナルができ、創成川通に面した西1街区側は都市間バスが、西2街区側は市内や近郊を走るバスが発着する。

高層タワーには商業施設、オフィス、高級ホテルが入居予定だ

高層タワーには商業施設、オフィス、高級ホテルが入居予定だ

2018年の北海道胆振東部地震の教訓を生かし、エネルギーの自給システムも導入。オフィスに入居した会社が業務を継続できるようにしながら災害時には帰宅困難者を受け入れるスペースをつくる。新幹線延伸時には創成川通をはさんで東側にも改札口を設置する検討をしており、周辺の回遊性は高まりそうだ。

今後は資金や運営ノウハウを持つ民間企業をいかに取り込むかが鍵になる。市が18年度に民間の知見を反映しようと実施した市場調査では大手デベロッパーや不動産会社、総合商社など16社が参画の意向を示した。札幌駅前への関心は高い。

新幹線の札幌延伸と招致を目指す冬季五輪まで11年、札幌駅周辺では再開発案件が目白押しだ。西武百貨店跡地の北4西3街区は5月に地権者16者が準備組合を立ち上げ、21年度に再開発のプランを具体化した都市計画決定を目指す。札幌総合卸センターが並ぶ北6東2~東4の3街区では総合病院やホテル、オフィスなどが入居する再開発ビルが24年に開業する。

(高橋徹、山中博文)

■期待に危機感も交錯、札幌市長・JR社長の一問一答
JR札幌駅南側の大型再開発が動き始めた。記者会見では札幌市の秋元克広市長が「にぎわいを持たせつつ、利便性の高い空間に」と期待を見せた一方で、JR北海道の島田修社長は「開発の成否が経営自立化の達成を大きく左右する」と危機感も隠さなかった。主な一問一答は次の通り。
 ――北5西2街区の商業施設部分の高さや規模は。
 島田社長「既存のJRタワーや大丸(札幌店)のビルもある。(周辺との)一体感やイメージを崩さないデザインにしていく」
 秋元市長「事業規模や商業施設の中身はこれから検討する」
 ――着工によるJR北海道グループが保有する商業施設ESTA(エスタ)の収益への影響は。
 島田社長「できるだけそうした(エスタビルの売り上げが立たない)状況がないように、あったとしても影響が少ない工程を考える」
 ――バスターミナルの上に設ける「交通待合交流空間」の役割は。
 秋元市長「新幹線延伸を見据え、交通結節点としての機能は非常に重要だ。スムーズな乗り継ぎはもちろん、待合という意味でにぎわいを持たせつつ、利便性の高い空間にしたい」
 ――31年度達成を目指す経営自立化の効果は。
 島田社長「長期ビジョンの中で札幌駅周辺開発は非常に大きい。開発は長期ビジョンや経営自立化の達成を大きく左右する」
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