10月の街角景気、11年以来の低水準 増税や台風が重荷

消費税10%
2019/11/11 20:00
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足元の景気が減速感を強めている。内閣府が11日発表した10月の景気ウオッチャー調査では街角の景況感が急低下し、東日本大震災後の11年5月以来の低い水準にとどまった。増税前の駆け込みで増えた売り上げが減少に転じたことに加え、台風で客足が鈍ったことが大きい。設備投資も基調は弱い。堅調だった内需に逆風が吹き、景気の足取りを弱めている。

景気ウオッチャー調査は景気に敏感な業種・職種の経営者や現場の担当者ら約2千人を対象に毎月25日から月末にかけて実施している。消費税率が上がった後で初めてとなる10月調査では、景気の現状判断指数(DI)が36.7と、前月から10.0ポイント下がった。

10月は判断指数を構成する3つの分野別に見ても、家計動向・企業動向・雇用がいずれも悪化した。特に家計関連は12.7ポイントの低下で、このうち小売りの指数は18.2ポイントも落ち込んだ。「消費税の引き上げ後、想定以上に来客数や売り上げが落ち込んでいる」(中国地方の百貨店の購買担当)などと、増税後の売り上げ減が厳しいとの声が目立つ。

東日本を中心に大雨をもたらした台風も景況感を曇らせた。東北の観光型ホテル経営者によると「10月初旬までは横ばいで推移していたが、台風19号によるキャンセルが相次いだことで景気は悪くなっている」。「台風19号の襲来が秋の3連休を直撃し、(来客数が)前年を大幅に下回っている」(北関東のテーマパーク職員)などと、観光関連から厳しい見方が多かった。

10月の現状判断指数は、2014年4月の前回増税時の38.4を下回っている。13年から14年の春先にかけては第2次安倍政権の発足後にあたる。11年の東日本大震災からの復旧が徐々に進み、日銀による異次元の金融緩和も景気を押し上げていた。今回は18年以降、米中貿易戦争などのあおりで景況感が悪化していたところに、増税と自然災害が追い打ちとなった形だ。

米中摩擦による世界経済の減速は、内需の柱である設備投資にも影を落とす。内閣府が11日発表した機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶・電力を除く)は9月まで3カ月連続で減り、7~9月期は前期比3.5%減となった。内閣府は基調判断を8月までの「持ち直しの動きがみられる」から下方修正して「持ち直しの動きに足踏みがみられる」とした。

足元の景気は減速感が強い。ただ、現時点では先行きは回復が見込まれている。台風による災害は一時的な要因で、いずれ解消が期待されるためだ。

増税については飲食料品の軽減税率やキャッシュレス決済のポイント還元などが消費者の負担増を和らげている。景気ウオッチャー調査でも、「食品持ち帰り時の(税率)据え置きとキャッシュレス還元が下支えしている」(東海のコンビニ企画担当)との声があった。

景気ウオッチャー調査では、2~3カ月先の景況感を示す判断指数が10月に6.8ポイント上がり、4カ月ぶりの上昇となった。内閣府は街角景気については「このところ回復に弱い動きがみられる」と前月までの見方を変えなかった。機械受注は10~12月期に3.5%増の見通しだ。

ただ、10月の増税後は新車販売台数などが大きく減り、製造業など一部の業種では求人数が落ち込んでいる。外需のもたつきが内需に波及すれば、増税後の景気が回復基調を取り戻すのに時間がかかる可能性がある。

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