中国にギリシャが急接近 習氏、港湾視察で影響力誇示

ヨーロッパ
2019/11/11 16:39 (2019/11/12 3:16更新)
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【イスタンブール=木寺もも子】7月に誕生したギリシャ新政権が外交面で中国への傾斜を強めている。ミツォタキス首相は自身が上海を訪問したわずか1週間後の11日、首都アテネに習近平(シー・ジンピン)国家主席を迎えて首脳会談を開催。習氏は中国が運営権を握ったピレウス港を視察し、影響力の拡大を誇示した。親ビジネスを掲げて経済の底上げを急ぐ新政権は、資金力をテコに欧州への勢力圏を広げる中国との蜜月関係を深めている。 「港の輸送力を高めて中国と欧州を結ぶ陸海の物流の能力を拡大したい」。習氏は11日、ミツォタキス氏との会談後、中国国有の海運大手、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)が保有、運営するアテネ郊外のピレウス港の拡張を進める考えを示した。

会談ではコスコが計画する6億ユーロ(約720億円)規模の拡張計画を進めていくことで合意。ギリシャ本土と離島を結ぶ電力網の整備の検討など計16項目の合意文書に署名した。その後、両首脳は連れだってアテネ中心部から十数キロの郊外にある同港の視察に向かった。

コスコは2016年にピレウス港全体を買収した。習氏が肝煎りとする広域経済圏構想「一帯一路」で欧州の玄関口となる重要拠点としてコンテナ取扱量を急増させた。地中海の要衝であるだけに、米国は軍事転用されるおそれがあるとして懸念を強めていた経緯もある。

ただ、習政権は米国が問題視した同港の発展を「一帯一路の成功の模範例」と位置づけている。今回の外遊ではあえて現地視察の日程を入れることで、同港を拠点にして欧州に影響力を広げる戦略は米国の圧力があっても進めることを鮮明にした。

小国のギリシャ訪問に異例の3日間の日程をさいた習氏をギリシャ側は歓迎した。ミツォタキス氏は「中国は困難にあいながらも地政学的、経済、政治的に指導的な役割を担っている」と称賛した。

10年に経済危機に陥ったギリシャでは、国内総生産(GDP)が危機前の4分の3に縮小した。同国にとって米国は北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であるものの、外国からの投資が低迷するなか「一帯一路」でギリシャを重視する中国の圧倒的な資金力にあらがえなくなっている。

チプラス政権が7月の総選挙で退陣した後に誕生した中道右派のミツォタキス政権は親ビジネスを掲げており、投資誘致のためにさらに中国の経済協力への依存を深めている。ギリシャのラブコールに応えるように、中国側では国有の中国銀行や中国工商銀行が相次いでギリシャへの進出を決定。アリババ集団はネット通販で食品などのギリシャ産品の取り扱いを拡大する計画をまとめている。

11日、ピレウス港を視察する習近平国家主席(右)とギリシャのミツォタキス首相=ロイター

11日、ピレウス港を視察する習近平国家主席(右)とギリシャのミツォタキス首相=ロイター

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