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ナジブ前首相の汚職裁判、長期化 被告側が反論へ

【クアラルンプール=中野貴司】マレーシアのクアラルンプール高等裁判所は11日、政府系ファンド「1MDB」の元子会社を巡る汚職事件で起訴されたナジブ前首相の審理を続けると決めた。12月以降にナジブ被告側に反論の機会を与えた上で2020年にも一審の判決が出る見通しだ。だが、1MDBを巡って同被告はほかにも30を超える罪で起訴されており、全ての裁判の決着には長い時間がかかりそうだ。

ナジブ被告の側近で主犯格の実業家ジョー・ロー被告は海外に逃げ捜査当局が逮捕できていないこともあり、巨額汚職の責任追及はなお途上だ。

11日に審理継続が決まったのは、ナジブ被告が1MDBの元子会社「SRCインターナショナル」から4200万リンギ(約11億円)を不正流用したとして起訴された事件の裁判だ。ナジブ被告はSRCに関連し、背任やマネーロンダリング(資金洗浄)など7つの罪で起訴され、4月から検察側が多数の証人を法廷に呼び立証を続けてきた。

11日の公判で裁判官は、現時点の認識としてSRCの資金が不正にナジブ被告の個人口座に流れたと指摘した。その上で被告側に12月以降に開かれる公判で反論し、無罪を立証するよう求めた。被告側はナジブ被告自らが証人として証言する意向を明らかにした。

仮に被告側が無罪を立証できなければ、高裁はナジブ被告に長期の懲役や多額の罰金を科す見通しだ。ただ、有罪でも無罪でも検察、被告側のどちらかが控訴するのは確実だ。ナジブ被告の弁護士は11日の公判後の記者会見で「裁判はいずれにせよ最高裁判所までもつれ込み、決着は(23年までに実施される)次の総選挙後となる」との見解を示した。

いまは野党側にいるナジブ被告が狙うのは次の総選挙で再び政権交代を実現して権力を掌握したうえで、検察や裁判所の幹部を息のかかった人物に差し替え、1MDB事件の責任追及をうやむやにすることだ。これまでも病気などを理由に公判日程の引き延ばしをはかってきた。

一方、マハティール政権側は世論の関心が薄れる前に、裁判を決着させ、ナジブ前政権の巨額汚職の責任追及を政権交代の意義として訴えたい考えだ。ナジブ前政権時代には1MDBの捜査が封印されていた経緯があるだけに、判決確定が次の総選挙後にずれ込めば、そのときの政治情勢次第でこれまでの捜査が覆されかねないと危惧する。

ただ、検察側も万全の体制で裁判に臨めているわけではない。検察が「ナジブ被告の分身」と位置づけ、事件の全容を知る立場にあるジョー・ロー被告を逮捕できていないため、その陳述内容を1MDB関連の裁判で証拠として提出できていない。1MDB元幹部などを多数の証人として動員し、ナジブ被告の罪の裏付けに自信をみせているが、主犯格の不在は一連の1MDB裁判の行方に影響を及ぼしている。

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