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実力100%発揮 ラウンド・メンタル・テクニック(中)

2019/11/23 3:00
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 米女子プロゴルフ協会(LPGA)・A級ティーチングプロであるヨッシー小山こと小山佳恵プロ。米国でのティーチング経験を生かして、2015年世界ジュニア日本代表に帯同するなど、日本に戻ってきてからもプロを目指すジュニアを中心に指導を行っている。今回は本番ラウンドで自分の実力を出し切るための、今すぐできるラウンド・メンタル・テクニックを伝授いただいた。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.44」から)

「ヴァーチャル・チームプレー」

ヨッシー 次に「ヴァーチャル・チームプレー」をお勧めします。これはとっておきのラウンド・メンタル・テクニックなのですが、表面的な解説だとなかなか理解してもらえないと思ってメディアではお話をしたことがありません。「書斎のゴルフ」さんなら私の真意を受け止めて読者にお伝えいただけると思って、今日初めてお話します。

──ワクワクします。しかしゴルフは基本的に個人プレーであり、チームプレーではないと思いますが……。

ヨッシー その通りで、ゴルフは個人プレーです。プロなら専属の帯同キャディーがいますが、一般のアマチュア競技ではそうしたキャディーは付きませんので、競技中はずっと孤独です。ですからメンタルコントロールも1人で行わなければいけない。それもOBや池ポチャ、ダフりやトップなど、次々に起きるミスに向き合いながら18ホールをラウンドしなければなりません。これってとても大変ですよね。

──その通りで、3パットやOBなど、たった1つのミスでもそれをキッカケにどんどん崩れてしまいます。

ヨッシー そのときに、信頼できる帯同コーチがいて「大丈夫だ! ミスといってもたった1打。それよりも次の1打をどう打つか考えよう」と言ってくれたら、気分も入れ替わって次の1打に集中できますよね。また、ティーショットをフェアウエーのど真ん中に運んだときなど、帯同コーチが「ナイスボール」と褒めてくれたら気分も上がってきますよね。

──帯同コーチがいてくれたら全然違うと思います。ミスをすると悔やんでばかりいて、集中できないまま次のショットを打ってまたミスをする。ミスが連続してしまうのが私の悩みでもありますが、帯同コーチと一緒にラウンドすることなんてありえませんから。

「ヴァーチャル・チームプレー」で、仮想帯同コーチと話をしながら、どこにショットを打つか決める

「ヴァーチャル・チームプレー」で、仮想帯同コーチと話をしながら、どこにショットを打つか決める

ヨッシー その通りですよね。だからこそ、頭の中で一人二役を演じるわけです。プレーする自分と帯同コーチの自分です。この2人でチームを組んでラウンドするのです。これが「ヴァーチャル・チームプレー」です。

──一人二役の「ヴァーチャル・チームプレー」。そんなことできるのでしょうか?

ヨッシー それができてしまうのです。コツは帯同コーチ役のときはその役に成り切ることです。スコア90前後の方ならコースマネジメントや難しいライからどう打つのかなどの知識は十分持っていますよね。ホームコースなら親しい友人と回るときにコースの攻略法を伝授したりするでしょう。それと同じことを帯同コーチ役になって演じるわけです。

──自分が自分自身に言うのではダメですか? 例えば「ミスはよくあること、気にせず次頑張ろう」とか自分自身に言い聞かせています。

ヨッシー ミスしたあとにものすごくネガティブな気持ちになっている自分が言った言葉を信用できますか? 主観的に対処するのではなく、客観的に対処するところがポイントです。あくまで第三者的立場でアドバイスをする。これは自分が自分自身に言うのとはメンタル面の効果では全然違ったものになります。今は説明を聞いているだけなのでピンとこないかもしれませんが、ラウンドで実践してもらえればよくわかると思います。

──なるほど。役作りをして今週末の月例会に臨みたいと思います。

ヨッシー 役作りで覚えておいてほしいことがいくつかあります。まず、親しい友人が帯同コーチになってくれたと想定すること。つまりあなた自身は友人の帯同コーチと一緒にラウンドするのです。なぜかというと、親しい友人と一緒にチームプレーをすることが、あなた自身のモチベーションにも良い影響を与えるからです。

親しい友人が帯同コーチになってくれたと想定し、一緒にラウンドするとモチベーションにも良い影響を与える

親しい友人が帯同コーチになってくれたと想定し、一緒にラウンドするとモチベーションにも良い影響を与える

──それなら、よくわかります。以前、友人と一緒に2人1組のチーム戦を行ったことがあります。2人がそれぞれティーショットを打ってどちらかのベストボールを選び、ベストボールの位置からまたそれぞれがボールを打ちます。パターも同様でラインを読み合いカップインしたところでホールアウト。その日、私は絶不調でなかなかベストボールに選ばれなかったのですが、なんとか役に立ちたいと思ってラウンドしていたら、徐々にショットが安定して最後はチームに貢献できました。お互い力を合わせ、同伴している相手チームに勝つことができて、とてもうれしかったのを覚えています。

ヨッシー 私もベストボールのチーム戦を女性初心者のラウンドレッスンに取り入れています。これは4人1組で1チームとなり、いくつかのチームを編成して競い合うわけです。チームごとにベストボールを選択しながら、4人全員がその位置からショットします。この前行ったときは、一つのチームはハーフ43、もう一つのチームはハーフ48でした。皆さんラウンドするのも臆するほどの初心者ばかりで、ハーフ50を切るどころかハーフ60や70もたたいてしまう方たちです。それなのにこのチーム戦では本当に大喜びで生き生きとゴルフを楽しんでいる。何より最後まで全員モチベーションが落ちることなく試合に没頭していました。これがチームプレーのマジックです。

──チームメートがいるのといないのとでは大違いですね。

ヨッシー 学生時代に団体競技をしていた方は感覚的にわかると思うのですが、「個人プレーでは心がくじけてしまう場面でも、チームプレーなら頑張れる」ということです。特に親しい友人と2人1組でチームを組むと、より頑張ろうと思うことができます。

──それで帯同コーチは親しい友人がいいのですね。

ヨッシー そうです。上下関係があって頭越しに言われたらやる気もなくなりプレーに集中できなくなってしまいますよね。フォア・ザ・チームと思えるような人とチームを組んでください。

──普段からひそかに尊敬しているゴルフの上手な友人がいますので、その友人が帯同コーチを引き受けてくれたと思いながら演じてみたいと思います。

ヨッシー もう一つ注意事項があります。帯同コーチになるときは、ホールとホールの間の移動時間か打つ前の「シンキングボックス」に入っているときに限りましょう。ボールを打つのはあなた自身なのですから「実行ボックス」に入ったら何も考えずに無心でスイングしましょう。プレーに入ってこれから打とうとするときに、耳元で帯同コーチが「ああしろこうしろ」と言っていたらスイングに集中できなくなります。帯同コーチが登場する場面をあらかじめ限定しておくのが「ヴァーチャル・チームプレー」の要諦です。

──わかりました。あまり帯同コーチの登場場面が多いと頭が混乱してしまいそうですね。気を付けます。

(次回は11月26日に掲載予定。文:並木繁、写真協力:ヨッシー小山、協力:東宝調布スポーツパーク)

ヨッシー小山(小山佳恵) 2000年に米カリフォルニア州サンディエゴでゴルフを習い始め、あるドライビングコンテストで274ヤードを飛ばして女性ナンバーワンに。07年にシングルプレーヤーになり、08年に米LPGAティーチングプロの資格を取得、サンノゼを中心にレッスンを開始。米LPGA・A級ティーチングプロに昇格して11年に帰国、アマチュアを中心に指導し、15年から笠りつ子選手や藤本麻子選手のメンタルアドバイザーに就任。16、17年に米LPGA国際部門ジュニア・リーダー・オブ・ザ・イヤーを受賞、18年には米LPGA国際部門ティーチャー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
「書斎のゴルフ」公式ホームページはこちら。http://syosainogolf.com/index.html

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