パーティーを盛り上げる 台所番長の調理道具5選
合羽橋の台所番長が料理道具を徹底比較

合羽橋の老舗料理道具店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏がイマドキの調理道具を徹底比較。今回は年末年始のパーティーで活躍するユニークな調理道具を紹介する。
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こんにちは、飯田結太です。宴会やホームパーティーが増える季節になりました。私も年末年始は友人とホームパーティーをします。ホームパーティーは私にとって道具の自慢大会。ユニークだったり、機能が優れていたりする調理道具のお披露目の場としています。友人たちが、「なんだこれは!」とリアクションしてくれるのでうれしいんですよね。友人たちも私のホームパーティーでは毎回違う調理道具が見られるので楽しいのではないかと思っています。

プロ用の調理道具は機能性はもちろんですが、ひとつのことに特化したもの、お客様が目でも楽しめるような工夫をこらしたものがたくさんあります。今回はその中でもベストセラーの商品やユニークな道具をご紹介します。調理道具の選び方ひとつで、ホームパーティーは盛り上がりますよ。
薫製の様子が見えて楽しい、使い勝手抜群のスモーカー
薫製料理は一般的になりましたが、思いのほか調理時間の調整が難しく、また、ニオイが室内にこもってしまうなどの欠点があり、室内で行うことに躊躇(ちゅうちょ)している人も多いかもしれません。飲食店の場合も同じ悩みを持っています。そんな中登場したのが、香りを付けるだけで本格的な薫製料理が楽しめる調理道具です。今では、香り付けの薫製料理は飲食店でも一般的になってきました。

ドウシシャ「もくもくクイックスモーカーL」は、初心者でも簡単に薫製料理ができるもの。ふたがガラス製なので、薫製調理の様子を見ながら楽しめると好評です。
人気の秘密は、エンターテインメント性だけではありません。使い勝手も申し分なし。まず、中心にある鉄製の小鍋にチップを入れて火にかけます。煙が出始めたら皿にセットしてガラスぶたを閉めます。ふたの取っ手の下には磁石がついていて、取っ手を押すと小鍋のふたが少しだけ開き、煙が中に広がっていくのです。食材に香りが付いたら、今度は取っ手の中心を押します。そうすると小鍋のふたが閉まって煙もなくなっていくという仕組み。
食材には火を通さずに香りを付けるだけなので、溶けやすいチーズなども程よく香りだけが付いておいしく食べられます。



1年中餅パーティーがしたくなるスライサー
冬は鍋パーティーが楽しいですね。なかでもしゃぶしゃぶはちょっとしたエンタメ性もあって、みんなでワイワイと楽しめると思います。そして私が好きなのが、餅のしゃぶしゃぶ。最近は薄切りの餅も市販されているので、肉や野菜と一緒に楽しめます。
そこに、餅のスライスも自分でやってしまおうと登場したのが「しゃぶしゃぶ餅スライサー」。実は、市販されている薄切り餅は厚さ1ミリのものが一般的。しかし、1ミリだと、鍋の中ですぐに溶けてしまう。これでは楽しめません。この餅スライサーは、3ミリの厚さにスライスするというもの。とても小さな進化ですが、これが大ヒット中です。わずか2ミリ違うだけですが、溶けにくく、食感が楽しめます。


使い方は簡単。ホルダーに餅をセットします。ホルダーをスライサーにセットして、立てた状態でスライスしていくというもの。ホルダーにはバネ付きのフラップがあって、ゆっくり下に押していくと餅はスライスされて出てきます。子供でも扱えるので、家族でのパーティーにもおすすめです。スライスしたいがために、餅を購入してしまうという人が続出するかもしれませんね。
食べやすくする新発想、見た目もユニークな焼き串
バーベキューや焼き鳥、ケバブ、チキンサティなど、串を使う料理はいろいろあります。どれもパーティーに並ぶと華やかになりますよね。ただし、いざ食べようと思うと少し食べにくく、串からはずして食べることも多いのではないでしょうか。その不満点を見事に解決したのが、アーネスト「櫛みたいな焼き串」です。名前のとおり、髪の毛をとかす櫛(くし)のような、魚の骨のような形をしている串。これなら好きなところから食べられます。

串が変化するという概念がまるでなかったので、これを見たときは感動しました。ステンレス製なので、何度でも使え、竹製のように燃えてしまうこともない。しかも、どこからでも食べられるという、串料理の食べ方まで変えてしまいました。すてきなアイデアですよね。串の先端が鋭いので、そこだけ注意が必要ですが。これはぜひパーティーで使ってほしいアイテムです。

いつまでも冷たいビールが飲めるアイデアジョッキ
以前、ビールグラスの飲み比べをしたことがあります。ガラス、ステンレス、銅など、いろいろな素材のビールジョッキが出ているのですが、ステンレスや銅は口に当てたときに金属のニオイが気になってしまい、ガラスに勝るものはありませんでした。ビール本来の味をダイレクトに楽しみたいならガラスが一番なのです。しかし、ガラスは中の飲み物がすぐにぬるくなってしまうという欠点があります。ステンレスなら保冷、保温がかなう。そこで、2つの素材をあわせたのが、ドウシシャ「飲みごこち」です。

ジョッキはステンレス製で、真空の二重構造。保冷効果も抜群です。そのステンレス製のジョッキのなかに、ガラスのグラスを入れました。これで、口に当たるのはガラスだから味の変化やニオイが気にならない。しかもいつまでも冷たい。いつもより2倍ビールがおいしく感じます。

ステンレスのジョッキは保温もできるので、例えば、最初はビールで乾杯をし、デザートタイムには、同じジョッキでホットワインを楽しむなんてこともできます。飯田屋のスタッフは、これでハイボールを飲むのが好きなのだそうです。どんなドリンクも楽しめるからパーティーにはぴったりですね。
インスタ映えするスイーツが手軽にできるデコペン

最後は、パティシエをはじめ、料理人の必需品となっているデコレーションペン(以降、デコペン)です。数あるデコペンの中でベストセラーなのが、シリコン製、カナダのクイジプロ「デラックスデコレーティングペン」。今や料理は味が良いだけでは物足りなくて、見た目もおしゃれにしないと売れない時代。そこで活躍するのが皿の上で自由に飾りつけができるペンなんですね。このデコペンは、口金2種類付き。使わない口金は押し棒の中に収納できる便利さも兼ね備えています。

以前は、プロが購入する調理道具でしたが、最近は、一般の人にも人気が高まっています。シリコン製なのでさほど力を入れなくてもソースが出てきて描きやすいことから、自宅で使う人が増えているようです。その理由はSNS(交流サイト)ですね。
例えば、市販のケーキやクッキーをデコペンで飾れば、本格的なスイーツのようになります。パーティーも盛り上がりますよ。(談)
(文 広瀬敬代、写真 菊池くらげ)
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