護送車から逃走の被告確保 大阪地検、発生から2日

2019/11/11 14:36 (2019/11/11 22:22更新)
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大阪府東大阪市の交差点で、保釈が取り消された大植良太郎被告(42)=覚せい剤取締法違反などの罪で公判中=が護送中の車から逃走した事件で、大阪地検は11日、大阪市内で同被告の身柄を確保した。9日の発生から2日。制止しようとした検察事務官2人が軽傷を負い、地検や大阪府警が行方を追っていた。

府警は11日、大植被告をかくまったとして、知人の塗装工、荻野侯昇容疑者(37)=大阪市住吉区庭井2=を犯人蔵匿の疑いで逮捕した。捜査関係者によると、大植被告は荻野容疑者が借りている住宅などに一時的に滞在していたという。大植被告は荻野容疑者が普段使っている車を借り、逃走していたとみられる。

大植被告の身柄確保を受け、地検の上野暁総務部長は「東大阪市をはじめ近隣住民に不安を覚えさせたことを重く受け止め、申し訳なく思う」と謝罪。10月30日に地検岸和田支部(同府岸和田市)で起きた別の被告の逃走事件と合わせ「今後の収容の在り方などについてしっかりと検討したい」と話した。

地検などによると、大阪市淀川区の淀川にかかる十三大橋付近で大植被告を見つけ、11日午後2時ごろに橋の上で身柄を確保した。捜査員が「大植か」と声をかけると「そうです。もう疲れました」と応じ、抵抗する様子はなかったという。逃走時に右手首に残っていた手錠は外れており、見つかっていない。

捜査関係者によると、府警などは前日の10日午前11時45分ごろに被告とみられる人物が運転する車を同市住吉区の駐車場で発見したが、取り逃がした。車は逃走を続け、同市大正区で阪神高速道路に入り、追跡を振り切った。同日午後2時半ごろに同市北区の駐車場で乗り捨てられた車が見つかり、府警などが付近を集中捜索していた。

事件は9日午前4時ごろに発生。地検が大植被告を府警河内署で収容し、仮留置予定の枚岡署に車で護送中だった。護送中は3人の検察事務官が付き添っており、被告の左手の手錠を一時的に外したところ、暴れて車のドアから逃走。事務官2人が軽傷を負った。

事務官だけの対応に限界

逮捕・起訴された後の被告の身柄の取り扱いは警察ではなく原則として検察が責任を負う。保釈が取り消された被告が再収容される際も検察事務官らが対応するのが通例だが、身柄確保や逮捕術などを専門的に学んでいる警察官と比べると、検察事務官は十分な訓練を受けていないとされる。

大阪府警は護送の際、警察官が容疑者らを両側から挟むように座るとの内規がある。使用する手錠は完全に外さなくても締め付けを緩められる機能があるという。担当者は「護送中は逃走のリスクが高いと考え、万全の態勢を取るようにしている」と話す。

一方で、大植良太郎被告の護送に付き添った3人の検察事務官は被告を挟み込むように座る対応を取らず、「手錠がきつい」との被告の申告を受けて左手首から手錠を外した。地検は手錠を外した点について「内規には違反していない」と説明するが、結果として逃走を許し、府民らに不安を与える事態を招いた。

検察が被告を収容できず取り逃がす事案は全国で相次ぐ。神奈川県愛川町で6月、実刑が確定して横浜地検が収容予定だった男が、自宅を訪れた事務官らに刃物を振り回して逃走。不手際を受け、最高検は8月、収容時の装備や人員の拡充を求める通達を出していた。

甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は今回の大阪地検の対応について「被告らの保釈率が増加傾向にある中、逃げる可能性がある相手に対してあまりにも甘い対応と言わざるを得ない」と指摘。その上で「収容時に警察の協力を積極的に求めるなど、被告らに逃げる気を起こさせない対応が不可欠だ」と話している。

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