香港、警察への反発一段と 抗議活動に絡み大学生死亡

習政権
中国・台湾
2019/11/8 18:11
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【香港=木原雄士】香港で3~4日に起こった抗議活動の際に負傷したとみられていた学生が8日、死亡した。これにより市民の警察への反発が一段と強まる可能性がある。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席から過激なデモの取り締まり強化を指示されたばかり。市民の間で警察への不信が高まっており、9日に発生5カ月を迎えるデモの収束は依然見通せない。

8日、香港で男子学生の死を悼む声が広がった=ロイター

「黒警殺人(黒い警察が人を殺した)」。8日昼、平日にもかかわらず香港島中心部の中環(セントラル)や、亡くなった学生が通っていた香港科技大学に多くの人が集まり、警察への批判を繰り返した。中心部の道路は一時、通行できなくなった。

一部の学生は科技大キャンパス内の食堂やカフェ、学長の宿舎を破壊し、警察を非難するよう求めた。8日夜には追悼集会が開かれ、多くの学生がろうそくに火をともして参加した。9~10日も香港各地で追悼集会が呼びかけられている。

死亡した男子大学生は3日に郊外の住宅街であった抗議活動に参加していたとみられ、4日未明に立体駐車場で倒れているのが見つかった。上層階から転落したもようだ。当時、現場周辺では警察が催涙弾を使ってデモ隊の強制排除を進めており、催涙ガスを避けようとして転落したとの見方がある。

6月に大規模デモが始まってから、自殺以外の犠牲者が出たのは初めてとみられる。香港政府は8日、弔意を示し「警察が包括的な捜査をしている」とする声明を出した。中国外務省の耿爽副報道局長は記者会見で「秩序を回復するのが香港の差し迫った課題だ」と述べた。

最近のデモは一部の若者が中国国営の新華社のビルを破壊するなど過激になり、警察との対立が先鋭化している。特に目立つのが大学生による抗議活動だ。香港紙、星島日報によると6月以降、専門学校生を含む大学生の逮捕者は702人にのぼった。卒業式で抗議活動のスローガンを叫んだり、デモで着用が禁じられた覆面を付けて参加したりする動きも広がっている。

林鄭氏は今週、上海や北京を訪れ、習氏や共産党最高指導部で香港担当の韓正(ハン・ジョン)副首相らと相次ぎ会談した。習氏は林鄭氏に「暴力活動を法に従って止め、処罰しなければならない」と強調した。独自の軍隊を持たない香港でデモを取り締まれるのは警察だけ。習氏の指示を受けて、警察が一段と強硬手段に出るとの見方が強まっている。

もっとも、市民の警察への信頼は著しく低下している。大学生が亡くなり、警察への反発がいっそう強まるのは確実だ。警察頼みのデモの抑えこみがうまくいくかは不透明だ。

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