金融市場、米中交渉の行方注視

2019/11/8 19:30
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金融市場が米中貿易交渉の行方を注視している。7日の米市場で長期金利は上昇し、ダウ工業株30種平均は最高値を更新した。8日の東京市場では日経平均株価が上昇した。不動産投資信託(REIT)が急落するなど市場の一部には急ピッチの金利上昇に対する動揺もみられる。ただ米中交渉の行方にはなお不透明感が強く、債券から株式への資金シフトは投資家の期待先行の危うさがある。

米国では7日、経済の体温計とされる長期金利が急上昇した。米10年物国債利回りは、約3カ月ぶりに1.9%台に乗せた。前日と比べた上昇幅は0.11%に達し、1日の上昇幅としては今年最大となった。米中の対立が先鋭化し、安全資産の長期国債などに資金が集まっていた8月末と比べて大幅に上昇している。

金融市場では米中対立の緩和を先行して織り込む動きが活発化している。債券と並ぶ安全資産の金価格も下落基調が鮮明だ。国際指標のニューヨーク先物は7日、1466ドルと約3カ月ぶりの安値で引けた。

米国の金利上昇は日米金利差の拡大を通じて円安圧力となっている。8日の東京為替市場で、円相場は一時1ドル=109円台半ばをつけ、およそ5カ月ぶりの円安・ドル高水準となった。

マネーは安全資産から株式へと向かっている。米株は7日に史上最高値を付けた。日経平均株価は連日で年初来高値を更新した。上場企業の今期純利益は2期連続減益となる見通しだが、日経平均は昨年10月に付けた高値(2万4270円)まで1000円弱に迫る。マッコーリーキャピタル証券の増沢丈彦ヘッドオブセールストレーディング(日本人顧客担当)は「日本株の持たざるリスクが意識され、中長期の投資家が慌てて買いに動いている」と明かす。

急ピッチの金利上昇を受け、投資家が動揺を強めたのがREIT市場だ。REITは分配金利回りの水準を金利と比較して売買する投資家が多い。REITは年初からの世界的な金利低下を受け資金が集中していた。こうした流れが反転したとの見方から、東証REIT指数は8日、一時前日比約3%安と急落する場面があった。「過熱感が強く、利益確定売りが膨らんだ」(ニッセイアセットマネジメントの大島正久チーフ・ポートフォリオ・マネジャー)

米中の交渉進展の先行きは不透明だ。8日の取引時間中にナバロ米大統領補佐官が「現時点で『第1段階』の合意条件として関税撤廃を含めることに合意はない」と語ったことが伝わると、日経平均は上げ幅を大きく縮小した。ピクテ投信投資顧問の松元浩常務執行役員は「足元の株価は米中対立の緩和を相当分織り込んでいる。具体的な交渉の進展や業績の底打ちなどを確認しないと、一段高は難しい」と話す。

(ニューヨーク=後藤達也、佐藤亜美、南畑竜太、水戸部友美)

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