米インバウンド消費、14カ月連続マイナス
貿易戦争で中国人観光客減が響く

北米
2019/11/8 17:32
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ニューヨーク市では中国人観光客による消費額が1割減った=ロイター

ニューヨーク市では中国人観光客による消費額が1割減った=ロイター

【ニューヨーク=野村優子】米国で外国人観光客によるインバウンド消費が落ち込んでいる。米商務省が発表したインバウンド消費額は、直近の9月まで14カ月連続で前年同月を下回った。米中貿易戦争の影響で米国を訪れる中国人観光客が減り、全体の消費額を押し下げた。米中間ではモノの輸出入だけでなく、ヒトの往来にもブレーキがかかっている。

商務省が発表した9月のインバウンド消費額は209億ドル(約2兆2800億円)と、前年同月比で1%減った。リーマン危機後も2009年12月まで14カ月連続で減少したことがあり、今回は当時と並ぶ長期低迷となった。

主な要因は中国人観光客の減少だ。訪米観光客数は18年に前年比3%増の3988万人に達し、統計がとれる1997年以降で最高となった。一方、2桁成長を続けてきた中国人観光客は18年夏ごろから減少し、同年は6%減の299万人だった。

19年1~7月も前年同期比で4%減っており、減少傾向が続く。中国外務省が米国旅行の注意喚起をしているほか、中国人が米政府にビザ発給を拒否される例が増えていることが背景にある。

米国でインバウンド消費が個人消費に占める割合は約3%と、日本(約1%)よりも高い。中国人観光客は米インバウンド消費全体の約14%を占め、国別で最大。滞在中の1人あたり消費額も6950ドルと、全体平均より5割も多く、中国人観光客の減少の影響は小さくない。

中国人観光客に人気のニューヨークでは、消費の落ち込みが鮮明だ。ニューヨーク市の観光協会「ニューヨーク&カンパニー」によると、19年1~6月の中国人観光客の消費額が11.2%減少した。担当者は「ドル高と米中対立の影響で、特に中国人の高額消費が減っている」と指摘する。

全米でみても、09年以降2桁の伸びが続いた中国人観光客の消費額は足元で失速している。18年の消費額は346億ドルと前年比で2%減った。

観光関連産業にも影響が広がっている。デルタ航空が発表した19年7~9月期決算の地域別売上高で、唯一マイナスの5%減となったのが中国を含むアジア太平洋地域。グレン・ホーエンスタイン社長は「米中貿易戦争で製造業の出張が減ったほか、中国からの旅行需要と中国への旅行需要の双方が減少した」と指摘する。

中国人観光客の消費額から、米国人の中国における消費額を差し引いた「旅行収支」は18年に290億ドルの黒字で、その金額は石油、天然ガスや輸送機器を上回る。トランプ米大統領は中国に対する巨額の貿易赤字を問題視するが、旅行分野では黒字幅の縮小を招いている。

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