米「関税撤廃、合意ない」 強硬派が中国側に異論

トランプ政権
貿易摩擦
北米
2019/11/8 15:59
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ナバロ米大統領補佐官は中国側の発表に異論を唱えた=ロイター

ナバロ米大統領補佐官は中国側の発表に異論を唱えた=ロイター

【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権で通商政策を担当するナバロ大統領補佐官は7日、米中が段階的な関税撤廃に合意したとする中国側の発表に「現時点で関税撤廃に合意したことはない」と反論した。米政権内には中国に産業政策の抜本見直しを求める強硬派がおり、意見集約は進んでいない。米政権は12月に関税第4弾を予定しており、貿易戦争は緩和か激化かの瀬戸際にある。

中国商務省は7日、米中両国が発動済みの制裁関税を段階的に撤廃する方針で一致したと発表した。ナバロ氏は米テレビ番組で7日、中国側の発表に異論を唱えたうえで「決めることができるのはトランプ米大統領だけだ」と述べた。ナバロ氏は中国に産業政策の抜本見直しを求める強硬派の筆頭格だ。

中国側の発表後も米国はホワイトハウス、米通商代表部(USTR)とも正式な見解を表明していない。政権内で現時点の合意に慎重な対中強硬派が巻き返しを図っている可能性もある。

米中は11月中に首脳会談を開き、農業や金融の市場開放や知的財産権の保護などを巡って「第1段階の部分合意」(トランプ氏)に達することを目指している。関税第4弾の発動まで1カ月強となったが、両国は(1)知的財産権の保護(2)関税撤廃の時期・規模(3)首脳会談の開催地――を巡ってなお綱引きを続けている。

中国は大豆などの米国産農産品を大量購入すると提案しており、農業地区の米中西部を支持基盤とするトランプ氏は、早期の合意に前向きだ。ホワイトハウス高官は「金融サービスの市場開放や通貨政策の透明化でも、中国側の提案は出そろっている」と話す。

中国側は米国が求める知的財産権の保護についても法整備などを提案しており、第1段階の合意条件として米国に制裁関税の撤廃を求めている。米国は2018年7月以降、第1弾(340億ドル分)、第2弾(160億ドル分)、第3弾(2000億ドル分)と段階的に制裁関税を発動し、19年9月には第4弾の前半として約1100億ドル分に追加関税を課している。

米政権ではクドロー国家経済会議(NEC)委員長が「第1段階の合意が実現すれば関税の一部撤廃はありうる」と明言する。米政権は12月に予定する第4弾後半(1600億ドル分)の発動を取り下げるとともに、9月に発動した追加関税も撤回することを検討。中国側は関税撤廃の規模をさらに広げるよう要求し、条件闘争が続いている。

ただ、ナバロ氏ら強硬派は「中国はウソをついてきた歴史だ」と譲歩に極めて慎重な立場を崩さない。習近平(シー・ジンピン)体制は中国の「国家資本主義」の根幹である産業補助金の撤廃などの見直しを拒んでいる。米中合意が農産品など「第1段階」で終われば、国家安全保障に直結するハイテク分野で米国は中国に追い抜かれかねないとの危機感がある。

冗舌だったトランプ氏も7日はこの問題について沈黙を保ったが、20年の大統領選の再選のために貿易戦争の悪化による景気失速はなんとしても回避したいのが本音だ。ただ、米景気は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ効果などで持ち直しの兆しもあり、トランプ氏が再び強気に転じる可能性もある。

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