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ママでも五輪コーチ YAWARAちゃんに2度勝った柔道家
柔道 福見友子(1)

Tokyo2020
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2019/11/13 5:30
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オリンピックは「特別な大会」と話す福見友子(2019年10月、東京都品川区のJR東日本柔道部柔道場)

オリンピックは「特別な大会」と話す福見友子(2019年10月、東京都品川区のJR東日本柔道部柔道場)

女子柔道48キロ級には長い間、世界に君臨した選手がいた。「YAWARAちゃん」こと谷亮子(44、旧姓・田村)だ。世界選手権を7度制し、五輪では5大会連続でメダルを獲得した。福見友子(34)は、その谷に2度勝利した唯一の選手だ。だが、ようやく出場した2012年ロンドン五輪は、「金メダル確実」と言われながらメダルに届かなかった。翌13年に引退し、指導者の道に。結婚して母親となった現在、JR東日本柔道部、全日本女子代表でコーチを務める。五輪を経験したアスリートの引退後をたどる「未完のレース」を、スポーツライターの増島みどりが連載する。

◇   ◇   ◇

穏やかな小春日和、福見友子は天気と同じような柔らかな笑顔で道場「竢成館(しせいかん)」の扉を開けた。

「きょうはわざわざ取材に来て下さってありがとうございます。お世話になります」と、深く頭を下げる。横には客用のスリッパがすでに複数そろえられており、掃除の行き届いたスタッフルームに案内されると同時に、道着姿のコーチが「よかったらどうぞ」と、香り高いコーヒーをテーブルに置く。

こうした一連の出迎え方にも、2015年からコーチを務めてきた女子柔道家の気遣いが隠れているのだろう。

JR山手線の大崎駅から線路に沿って10分ほど歩いた好立地に、15年、JR東日本は女子柔道部を創部し道場と選手の寮を完備した。道場にはまだ新しい、国際基準の畳が2面敷かれ、寮は目の前にある。

週末に2020東京五輪の選考材料ともなる講道館杯を控えていた。

「私のほうがドキドキ、緊張してしまって……やはり特別な大会ですから」と、指導者として2回目、キャリアを通じて5回目の挑戦となるオリンピックを今も見上げるように、目を輝かせた。

オリンピックという厚い壁に挑むたびに、辛い経験をかみしめて来た柔道家でもある。

■高校2年生で女王・谷を破る

高校生の福見(左)は田村亮子(当時)に勝ち、一気に注目を集めた(2002年4月、全日本選抜体重別選手権)=共同

高校生の福見(左)は田村亮子(当時)に勝ち、一気に注目を集めた(2002年4月、全日本選抜体重別選手権)=共同

16歳、高校2年生だった02年の全日本選抜体重別選手権で、当時、シドニー五輪で金メダルを獲得するなど65連勝中と無敵だった48キロ級の女王・谷亮子(当時田村)を破って大きな注目を一気に集め、重すぎる期待も同時に背負った。

そうして始まった五輪と歩む柔道人生は、5年後の07年、21歳で再び谷に勝ったというのに、一層難しくなってしまった。

08年北京五輪前年、07年ブラジルでの世界選手権(世界柔道)代表選考をかけた体重別選手権決勝で、福見は出足払いで有効を奪い、谷を下して悲願の初優勝を果たす。北京を目指す上でも重要な国際経験になるはずが、全日本柔道連盟は選考会の直接対決の結果ではなく「海外勢に対しての実績は谷の方が上」と判断。深い落胆が翌年の北京五輪選考会にも影を落とし、完治しないケガを抱え1回戦で敗退し、ブラジル世界柔道の優勝で勢いをつけた谷が5回目の五輪代表の座を手にした。

02年に初めて谷を破ってから実に10年が経過した12年のロンドン五輪、3度目のチャレンジでようやく代表の座をつかむ。五輪の正式種目となった1992年バルセロナ以来、谷が金メダル2つ、銀メダル2つ、銅メダル1つを獲得してきた日本女子柔道界の看板階級ながら5位に終わった。

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