完全菜食ビーガンの可能性 34億人市場の入り口に
編集委員 石鍋仁美
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訪日外国人の増加で「ベジインフラ」の整備という課題が浮上してきた。動物性食材を使わない料理の用意や食品への表記などが欧米に比べ遅れ、肉を食べないベジタリアンや、卵や牛乳も避けるビーガン(完全菜食主義者)が安心して旅行・生活できない問題を指す。解消に向け国会で議員連盟も発足したが、省庁間の温度差は大きい。2020年の東京五輪に食のバリアフリー化は間に合うか。
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「これで安心して日本を旅行できますと、箱買いしていく個人旅行者もいます」。ビーガン向けカップめんを食品メーカーのヤマダイ(茨城県八千代町)と開発、販売しているティーズレストラン(東京・目黒)の下川万貴子取締役は語る。
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動物性の食材や調味料などを一切使わないビーガン向けメニューを充実させたレストランを東京・自由が丘に開業したのは10年前。今では東京駅や銀座4丁目などに店舗網を広げる。カップ麺は4年前の発売時から改良を重ね、自店やコンビニでの売り上げは1.5倍に。「ビーガンの人も、そうでない人もおいしく食べられるものを目ざした」と下川取締役。
「コンビニで塩おにぎりを買っている」「日本食が楽しみだったけど、出汁(だし)が魚なので食べられず残念」。来日後、そう困惑し、不便を感じている外国人は少なくない。