税金の無駄、18年度は1002億円 会計検査院指摘

会計検査院は8日、国費の無駄遣いや不適切な経理、税の徴収漏れなど335件、1002億円を指摘した「2018年度決算検査報告」を安倍晋三首相に提出し、公表した。過去10年間で件数は最も少なく、前年度から39件減った。金額は2番目に低く、前年度より154億円少なかった。
法令に違反する「不当事項」は254件、57億円だった。省庁団体別で不当事項の金額が最も多かったのは厚生労働省の18億円。うち健康保険や厚生年金保険の徴収不足が6億9千万円、医療機関などへの医療費の過大支払いが1億6千万円。次いで総務省の6億7千万円、文部科学省の6億6千万円だった。
全体の指摘件数が最も多かったのは厚労省の91件。次いで農林水産省の45件、文科省の39件など。全体の指摘金額が最も多かったのは経済産業省の203億円。中小企業などが金融機関から融資を受けやすくするための基金を積み立てる独立行政法人「中小企業基盤整備機構」で、政府出資金202億円が使われる見込みがないとして、検査院は不要分の国庫返納などを求めた。
決算検査報告は、内閣から独立した地位で国の財政を監督する会計検査院が省庁のほか、国が資本金の2分の1以上を出資する法人などの決算を検査し1年間の結果をまとめたもの。毎年秋に首相に提出し公表する。
法令に違反する予算執行を不当事項と指摘するほか、税金が有効活用されるよう意見を表示したり処置を要求したりする。18年度は約1万カ所以上が対象になり、うち約2900カ所を実地検査した。契約書や領収書など調べた証拠書類は約3900万枚という。