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トヨタ、逆風下の最高益 4~9月期、純利益3%増

トヨタ自動車が7日発表した2019年4~9月期決算は、純利益が前年同期比3%増の1兆2749億円と、同期間で過去最高を更新した。世界の自動車市場が落ち込む中でも、新モデルの投入効果で販売台数を伸ばした。モデル切り替えの頻度が他社より高く、業績の差につながっている。販売が伸び悩む米国でもコスト管理で利益を大幅に伸ばした。

4~9月期の売上高は4%増の15兆2855億円、営業利益は11%増の1兆4043億円だった。世界販売は3%増の545万台と過去最高で日本や欧州、中国での販売増がけん引した。

競合を見渡すと、4~9月の販売台数では独フォルクスワーゲン(VW)は1%減、米ゼネラル・モーターズ(GM)は6%減と振るわなかった。利益面でも4~9月の純利益はGMは3%減、米フォード・モーターが7割減と、世界の自動車大手の多くが減益となっている。

トヨタの堅調さを支えるのが、相次ぐ新モデルの投入だ。今期は主力の多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」やセダン「カローラ」などをフルモデルチェンジして投入した。トヨタは21年までに20近い新モデルを投入し「世界販売の6割を新型車へと切り替える」(幹部)計画。今後、主力小型車「ヤリス」などの新型の投入を控えている。

これに加えて、米中で進める改革も収益を押し上げている。中国でのトヨタのシェアは6%程度と、世界シェア(約10%)に比べて見劣りする。巻き返しに向け、地方でのモーターショーの出展を大幅に増やしているほか、強みのハイブリッド車(HV)の普及活動も強化している。4~9月期は市場全体がマイナスの中でも販売は1割増え、勢いを見せる。

苦戦していた北米も採算が急改善している。新モデル投入に加え、現地で人気のピックアップトラックなど大型車の供給を増やし、値引き原資の販売奨励金(インセンティブ)が減少。中古車相場が安定し、リース車を引き取る際の想定価値が改善していることも追い風だ。「全方位での活動を推進した」(近健太執行役員)ことで、4~9月期の地域別の営業利益は6割増となった。

20年3月期の通期業績予想は、税引き前利益を前期比15%増の2兆6300億円に引き上げる一方、純利益は14%増の2兆1500億円を据え置いた。同日、2000億円を上限に自社株買いを実施することも発表した。

トヨタが「原価低減」と呼び、自社だけでなく部品メーカーと組んで進めているコスト削減の効果が下がっている。自動運転など「CASE」が実装段階に入り、車に安全支援などの新機能が増えコストが高まった。グループ外から調達する電子部品やソフトウエアなどの比重が高まり、低減の難しさも増している。

CASEが重荷 カイゼンに試練

原価低減の金額は年々減少しており、前期と2020年3月期は2500億円程度(材料市況の変動を除く)と、従来のように年3000億円超は出なくなった。低減効果を販売台数で割った「1台当たり原価低減額」は今期に2万8000円ほどと、18年3月期の約3万7000円から大幅に低下する見込みだ。

背景にあるのは車の新機能の拡充だ。トヨタの新型車ではCASEに沿った自動追従などの安全支援システム、コネクテッドカー(つながる車)の機能を標準搭載とする車種が増えている。各国の環境規制への対応も複雑化しており「既存の部品の原価低減の効果を打ち消している」(トヨタ幹部)という面がある。

原価低減が減り続ければトヨタの成長に「黄信号」がともりかねない。首脳陣も変革期を乗り切るため、「お家芸」の重要性をことあるごとに指摘するようになった。

従業員が業務改善を提案する「創意くふう」活動は1951年からと歴史ある取り組みだが今年4月、改めて従業員に参加を呼びかけた。

7日、都内で記者会見した工場担当の河合満副社長は「(カイゼンの提案は)数百億円というところまで(効果が)積み上がった」と明らかにした。例えば、高岡工場(愛知県豊田市)の塗装工程では1日当たり10枚使っていたゴミ袋に生産で使う部材が入っている袋を再利用し、1台当たり0.07円の原価低減につなげた。

抜本的な低減の仕組みにも取り組んでいる。新たな設計開発手法「TNGA」を柱に部品の共通化を進めており、世界で約100種類あった骨格部品は半分ほどに減らす方向だ。すでに「原価を約10%低減できた」(トヨタ幹部)という。

さらに、原価低減の活動の輪を「日本連合」に広げる。スズキとの資本提携を決めたほか、SUBARU(スバル)との資本業務提携を拡大させると矢継ぎ早に発表した。「技術や部品の共通化を進める議論を急いでいる」(トヨタ幹部)。トヨタが出資する自動車メーカーを合わせた販売台数は1600万台に上り量産効果も見込める。

原価低減の効果を相殺しかねない要素は今後も増える。ハード中心だった車のコストでソフトの割合が増え、ものづくりにとどまらない低減策も必要となっている。

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