百度、脱・検索依存へ道半ば 7~9月1000億円赤字

アジアBiz
2019/11/7 22:00
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【北京=多部田俊輔】中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)が6日(米国時間)発表した2019年7~9月期の最終損益は63億7300万元(約1千億円)の赤字だった。主力のネット広告収入の減少と投資先の株式評価損が響き、2四半期ぶりに赤字に転落した。動画配信の成長など検索サービスに依存する事業構造から脱却の兆しは見えるものの、自動運転など新規事業の収益化にはなお時間がかかりそうだ。

百度の自動運転事業は収益化が課題だ(北京市、7月)

百度の自動運転事業は収益化が課題だ(北京市、7月)

売上高は280億8千万元と前年同期に比べ微減だった。百度が最終赤字となるのは1~3月期に続き、05年の上場以来、2度目となる。ネット検索の広告収入を柱とする主力のオンラインマーケティング事業が9%減少したことが響いた。

厳しい決算を余儀なくされたが、李彦宏(ロビン・リー)董事長兼最高経営責任者(CEO)は社内向けの声明文で「我々の変革は初歩的な効果が出てきた」と強調した。さらに「イノベーションを進め、自信を持って2020年を迎えよう」と社員を鼓舞した。

大幅赤字を計上したにもかかわらず、李氏が強気なのにはワケがある。

百度によると、株式評価損などを除いた調整後の純利益は43億元を確保した。オンラインマーケティング事業は落ち込んだが、新規事業の伸びで売上高は事業再編を考慮すると、実質3%増えたとしている。売上高や特殊要因を除いた利益は市場予想を上回り、米国市場の時間外取引で百度株は5%上昇した。

「脱・検索依存」が課題のなか、現時点で象徴的なのが、中国版ネットフリックスと呼ばれる動画配信の上場子会社、愛奇芸(iQIYI)だ。7~9月期の売上高は7%増加した。広告収入型からサブスクリプション(定額課金)型への転換を狙い、9月末の会員数は前年同月末に比べ3割増え、1億人を突破した。サブスク型の収入は前年同期比30%増えた。

オンラインマーケティング事業を除いた売上高は約3割増で、売上高全体の3割近くを占めた。不正医療広告問題で上場以来、初の減収だった16年7~9月期は1割に満たなかったことを考えると、脱・検索依存は一定の成果を上げている。

さらに、百度は成長戦略を描くうえで「AI(人工知能)」「自動運転」「クラウド」の新規事業の3本柱を掲げる。

百度のAIスピーカーは会話の流れがスムーズとの評価があり、家電大手との提携も奏功し、4~6月期の世界出荷台数は470万台に達した。前年同期の10万台から大幅に増加した。

中国メディアによると、アリババ集団や小米(シャオミ)を抜き、首位の米アマゾン・ドット・コム、2位の米グーグルに続いて世界3位に浮上した。ただ「価格が安いため大きく伸びた」(関係者)との声があり、AIスピーカーを活用してコンテンツで稼ぐスタイルの確立はこれからだ。

自動運転の収益化も見えていない。百度が17年に始動した自動運転の開発連合「アポロ計画」には新たにトヨタ自動車も加わった。ホンダや米フォード・モーターなど約150社がアポロ計画に参加するが、自動運転技術の基盤ソフトを開発して提供する以外、プラットフォーマーとしてどう利益を稼ぎ出すのか。まだ不透明な情勢だ。

百度は創業からまもなく20年を迎える。グーグルが検索事業から、スマートフォン向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を開発しプラットフォーマーの地位を固めた一方、百度はスマホ対応で後手を踏んだ。「中国版グーグル」を目指すが、その道のりは険しい。

アリババ、騰訊控股(テンセント)と並ぶ中国ネット企業3強、いわゆる「BAT」の一角から百度は収益面や時価総額では脱落した。さらにニュース配信の今日頭条、宅配アプリの美団点評、配車アプリの滴滴出行(ディディ)の3社の総称である「TMD」などの勢いも著しい。新規事業の収益モデルを早期に確立できるかが、百度の次の20年を左右する。

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