クボタ次期社長に北尾氏 次世代農業、成長の柱に
国内は人手不足対応、欧米テコ入れも課題

2019/11/7 19:26
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記者会見で握手するクボタの次期社長に決まった北尾裕一副社長(右)と会長になる木股昌俊社長(7日、大阪市北区)

記者会見で握手するクボタの次期社長に決まった北尾裕一副社長(右)と会長になる木股昌俊社長(7日、大阪市北区)

クボタは2020年1月から経営のかじ取りを新社長となる北尾裕一副社長に委ねる。現地大手との競合が激しい欧米での巻き返しと、人手不足が深刻な国内農業への対応――。世界3位からトップに近づくには課題が山積する。従来型の農機開発に加え、次世代型農業の確立に向けたスタートアップや研究機関との連携なども欠かせない。

「各部門が総力を結集してグローバル展開を進めたい」。7日、大阪市内での記者会見で北尾氏はこう強調した。同氏は技術畑出身でトラクターの開発に30年携わった。運転支援機能付きのトラクターなど先端農機に明るく、米国の販売子会社といった海外経験も豊富だ。社内では穏やかな人柄で知られ、14年に急逝した益本康男氏を継いだ木股昌俊社長も「チャレンジ精神を持つ」と早くから後継候補として有力視してきた。

木股氏が取り組んだのはグローバル事業の礎作りだ。15年にフランスで農機工場を立ち上げ、16年には米グレート・プレーンズ・マニュファクチュアリング(GP)も買収した。GPはトラクターでけん引し、施肥や耕運などを担う「インプルメント」と呼ぶ補助機器のメーカーだ。

「グローバルメジャーブランドの実現に向けてまい進したい」(北尾氏)と強調するが、道のりは険しい。クボタは稲作用農機が中心だったが、欧米は小麦などの畑作がメインだ。17年のトラクターのシェアは北米で35%、欧州で8%にとどまる。

成長にはこの分野でのテコ入れが欠かせないが、大型農機をそろえる米ディアや蘭CNHインダストリアルの主戦場でもある。米国では農機市場がふるわず、現地勢との激しい価格競争はなお残る。欧米で存在感を高めるにはIT(情報技術)を駆使したインプルメントとの連携などで競合との違いを訴えられるかがカギを握る。

国内農業への対応も迫られる。日本の農業従事者の平均年齢は67歳。高齢化により35年には100万人と、現在の半分になるとの試算もある。自動運転機能を持つ農機は高額で、中小規模の農家には導入のハードルが高い。新たな農業ロボットの開発などによる課題解決が必要だ。

自動運転など変革の波が押し寄せる自動車業界では、製品からサービスに付加価値がシフトする流れが鮮明。農機もこうした動きとは無縁ではいられない。人工知能(AI)の活用など外部の知見も生かして次世代農業への転換を図れるか。

「川上から川下までフードバリューチェーン全体でロボットやAIも活用したい」。19年から外部との連携で技術革新を起こすイノベーションセンターの所長も兼務する北尾氏はかつてこう語っていた。チャレンジ精神が早速問われている。

(杜師康佑)

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